
岸田文雄首相は2日、ロシアによる軍事侵攻でウクライナから第三国に逃れた避難民の一部を受け入れる考えを表明した。同日、ウクライナの隣国ポーランドのモラウィエツキ首相と電話会談し、こうした考えを伝えた。
岸田首相はこの後、首相官邸で記者団に「まずは親族や知人が日本にいる人々について受け入れることを想定している。それにとどまらず、人道的な観点から対応していく」と語った。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、同日時点で87万人以上がポーランドなどに避難。首相は「毎日毎日大量の難民が発生している。できるだけ早く手続きを進めたい」と述べた。
政府は新型コロナウイルスの水際対策で1日の入国者を5000人に限っているが、ウクライナ難民の入国は別枠で対応する方針だ。
会談で首相は、ウクライナの在留邦人が陸路でポーランド側へ退避する際の協力を要請し、モラウィエツキ氏は「最大限支援する」と応じた。首相はドイツのシュタインマイヤー大統領とも電話で会談し、ウクライナ危機対応で協力を確認した。
一方、政府は同日、ウクライナの首都キエフの情勢が緊迫化しているとして、在ウクライナ日本大使館を一時閉鎖した。ポーランド国境に近い西部の都市リビウに開設した臨時連絡事務所で、在留邦人の安全確保や出国支援に当たる。
外務省によると、ウクライナにはなお約120人の邦人がいる。現地にウクライナ人の家族がいるなどの事情で、2月中旬以降ほとんど減っていない。政府は、在留邦人の配偶者や子、その他親族についても日本で最大限受け入れるとしており、リビウの事務所でビザ(査証)の申請を受け付ける。
時事通信