外国首脳の日本訪問が近く活発化する。4月中にドイツなど3カ国の首脳が、5月にはバイデン米大統領らが来日する予定。岸田文雄首相は外遊も調整している。国際秩序の根幹を揺るがすウクライナ危機の中、外交面で実績づくりを狙う。
首相は18日、初来日するスイスのカシス大統領兼外相と首相官邸で会談。ニュージーランドのアーダーン首相、ドイツのショルツ首相が月内に続く方向だ。
一連の首脳会談はロシアのウクライナ侵攻を受けた対応が主なテーマとなる。スイスは永世中立国だが、米国主導の経済制裁の枠組みに参加。ドイツは先進7カ国(G7)の今年の議長国だ。インド太平洋地域への危機の波及が懸念されることから、政府関係者は「欧州とアジアをつなぐ役割を果たしたい」と語る。
岸田首相が外国首脳を迎えるのは、日越首脳会談を行った昨年11月以来。日本が新型コロナウイルスの水際対策を3月から緩和していることが背景にある。外務省幹部は「かなり来やすくなった」と説明した。
バイデン氏来日は5月22日ごろの見通し。オーストラリアとインドを交えた4カ国の枠組み(通称クアッド)で首脳会談を行う。クアッドは覇権主義的な動きを強める中国を見据える。伝統的に「非同盟」のインドを取り込み、中ロに対してどこまで一致したメッセージを示せるかが焦点。岸田首相はホスト役として指導力を発揮し、夏の参院選に向けたアピール材料にしたい考えだ。
岸田首相は大型連休中に東南アジア3カ国と英国を歴訪する計画。6月26~28日にはG7サミットに出席する予定で、対面会談の機会が増える。
ただ、中ロそれぞれに対する温度差は東南アジアの国々にもある。コロナ収束はなお見通せず、思惑通り首脳外交を展開できるか、不透明な要素を残す。
時事通信