
政府は27日午前の閣議で、中東でのシーレーン(海上交通路)の安全確保に向けた情報収集態勢を強化するため、海上自衛隊の現地派遣を決定した。防衛省設置法4条の「調査・研究」に基づき、哨戒ヘリ搭載の護衛艦「たかなみ」1隻を新たに派遣。ソマリア沖で海賊対処に当たるP3C哨戒機2機も活用する。哨戒機は1月下旬、護衛艦は2月下旬から活動を始める予定だ。
菅義偉官房長官は記者会見で「国民に対する説明責任の明確化の観点から閣議決定を行った。今後、丁寧に説明していきたい」と述べた。
活動海域はオマーン湾、アラビア海北部、イエメン沖バベルマンデブ海峡東側のアデン湾のいずれも公海。イランの領海を含むホルムズ海峡は、同国を刺激する可能性があるため除外した。
閣議に先立ち、政府は国家安全保障会議を開催。閣議決定後、河野太郎防衛相が部隊への準備指示を発令した。派遣規模は護衛艦が約200人、哨戒機が約60人とする。
日本は米国主導の有志連合には参加しないが、連絡要員をバーレーンの米中央軍司令部に派遣し、情報共有を図る。フランスやインドなど、有志連合とは別に監視活動を行う国とも連携する方針だ。
派遣期間は27日から来年12月26日までの1年間。延長する場合は再度、閣議決定が必要となる。活動内容は国会に報告する。
日本関連船舶が攻撃を受けるなど不測の事態が起きた場合は、自衛隊法82条の「海上警備行動」に切り替える。日本籍船に加え、(1)日本人が乗船(2)日本の事業者が運航(3)日本の積み荷を輸送―する外国籍船が保護対象となる。
閣議決定には、中東地域の緊張緩和に向けた外交努力の継続や、自衛隊と関係省庁、海運業界との連携体制の構築なども盛り込まれた。
JIJI Press