
秋葉剛男国家安全保障局長が、中国を訪問して同国外交担当トップの楊潔※(※竹カンムリに褫のツクリ)共産党政治局員と近く会談する方向で調整していることが分かった。複数の日本政府関係者が17日明らかにした。台湾周辺で中国が行った軍事活動への懸念を伝え、自制を促すとみられる。
ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した中国は軍事的圧力を強化。台湾周辺での軍事演習で弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾し、日本側が抗議した。4日にカンボジアで実施する予定だった外相会談が見送られるなど、台湾情勢の悪化で日中間の対話の機運が遠のきつつあった。
岸田文雄首相は10日の記者会見で、「こうした時こそしっかり意思疎通を図ることは重要だ」と言及、日本側は対話の機会を模索している。秋葉氏は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、台湾は不可分の領土だとする中国の立場を日本が「尊重する」との見解に変更はないと伝達する見通しだ。
国交正常化50年の節目を9月29日に控えていることを踏まえ、秋葉氏は「建設的で安定的な関係」の構築を楊氏に呼び掛ける。
中国外務省の汪文斌副報道局長は17日の記者会見で、「中日間には複数の対話ルートがあるが、現時点で提供できる情報はない」と述べた。その上で、台湾問題は中国の内政だと主張し「いかなる外国も干渉する権利はない」と語った。
時事通信