
東京都教育委員会は、来年度入学の都立高校入試で、英語で話す力を測る「スピーキングテスト」を導入する。通信教育大手ベネッセコーポレーションと共同で11月、公立中学校の3年生約8万人を対象に実施。民間が運営する英語テストを公立高入試で活用する全国初の事例となるが、採点方法などをめぐり一部で反発の声もある。
テストは都教委が進める、世界で活躍する人材育成の一環。従来の学力検査や調査書を合わせた1000点満点に、スピーキング(20点満点)を加算する。専用のタブレット端末から示される問題をイヤホンマイクを通じて回答。過去のプレテストでは、友人との会話といった場面で想定される応答を試す問題などが出た。
一方、保護者や大学教授らがテストの中止を求める住民監査請求を行うなど、反対論も根強い。ベネッセの協力会社が採点を担うことや、同テストを原則受けない国私立中の生徒が都立高を受験する際、学力検査の得点から推定して点数を決めることなどを「透明性や公平性に欠ける」と批判する。
都議会の野党会派は9月、テストの入試活用を阻止する条例案を提出。反対多数で否決されたが、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の都議5人が造反する事態にも至った。
都教委幹部は「長期にわたりテストを周知してきた。中止となれば対策を頑張っている生徒への影響は甚大」と、予定通りの実施を強調。小池氏は「スピーキングが日本の場合、非常に弱い。世界でチャンスをつかむため、話すという基本的な力が必要だ」と理解を求める。
都教委は、今月からホームページでスピーキングテストに関する「Q&A」を掲載。採点者について「英語教育に関する専門性のある人が、事前に研修を受けている」と説明するなど、関係者の不安解消に努めている。
時事通信