
米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を導入する案が政府内で浮上した。「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を念頭にしたもので、すでに米国側に打診している。政府関係者が28日、明らかにした。
トマホークは地上や海上から発射可能で、射程は1000キロメートルを超える。
米国は1991年の湾岸戦争などの実戦に投入。英国も導入している。
政府は年末までに、防衛力の抜本的強化に向けて国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定する。
その中で反撃能力の保有を明記し、海上自衛隊の護衛艦を改修し、トマホークを運用する段取りを描いている。
防衛省は相手の射程圏外から攻撃できる長射程のスタンド・オフ・ミサイルとして、国産の「12式地対艦誘導弾」を1000キロメートル超の長射程化にする改良を続けている。
ただ、運用開始は2026年度の見込みで、配備までは一定の時間がかかる。そのため、「信頼性が高い」(防衛省幹部)との評価があるトマホークを早期配備する案が浮上した。
しかし、政府内には「海外製の装備品は急に価格が高騰することや、納入時期が遅れることもある」(防衛省関係者)との懸念の声も出ている。
「米国製に安易に頼ると、国産ミサイル不要論につながる」との指摘もあり、今後、慎重な検討が進む見通しだ。
時事通信