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サウジPIF、マアデンとの合弁設立 「鉱業セクターの確立に貢献」とPIF幹部

 PIFは中核的な鉱山プロジェクトを実現し、クリティカルミネラルを世界に供給し、同時に脱炭素目標の達成を支援することに尽力するとPIF幹部のアルダウッド氏は話す。(ファイル)
PIFは中核的な鉱山プロジェクトを実現し、クリティカルミネラルを世界に供給し、同時に脱炭素目標の達成を支援することに尽力するとPIF幹部のアルダウッド氏は話す。(ファイル)
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04 Jun 2023 04:06:06 GMT9
04 Jun 2023 04:06:06 GMT9
  • サウジアラビアの地中には「1.3兆ドル相当もの未開発資源が眠っている」

ニルマル・ナラヤナンレイナ・タクラ

リヤド:金 属・鉱業セクターが「ビジョン2030」で掲げられている目標を達成するために注力すべき13の戦略的セクターの1つとして指定されている中、サウジアラビアの政府系ファンドPIFがマアデンの名でも知られるサウジアラビア鉱業株式会社との合弁事業を設立することは、国内の鉱物資源の潜在力を引き出すことにつながると、PIF幹部が述べた。

PIFの産業・鉱業部門中東・北アフリカ投資担当責任者であるモハメド・アルダウッド氏は、アラブニュースとのインタビューで、この合弁事業は鉱業部門をサウジ経済第三の柱として確立することに資するとともに、新領域を開拓する機会をもたらすと述べている。

「我々(PIF)は、鉱業をサウジ経済第三の柱として確立するミッションの重要な後押しとして、その成長を支援することを計画しています。サウジアラビアは幸運にも、現在未開発の優良な鉱物資源に恵まれています。我々は、サウジアラビアの地中には1兆3,000億ドル相当もの未開発の資源が眠っていると推定しています」とアルダウッド氏は述べた。

続けて、次のようにも述べている。「これは、PIFとマアデンが鉱業分野で国際的な足跡を残すことになる、実に期待できる展開です。これにより、両者にはサウジアラビアでは入手できない鉱物にアクセスするためのプラットフォームを確立し、新しい地理的領域に進出する機会が開かれるでしょう」

マアデンとPIFは1月に、世界各国の鉱業資産に投資する合弁事業の設立に合意した。

事業の保有比率はマアデンが51%であるのに対し、PIFが49%となる。

この新事業の戦略は、初期段階では、鉄鉱石、銅、ニッケル、リチウムへの投資に重点を置き、業務提携を行わない少数株主として出資する予定だ。

PIFの産業・鉱業部門中東・北アフリカ投資担当責任者モハメド・アルダウッド氏

アルダウッド氏は、新会社の戦略について、「初期段階では、少数株主として鉄鉱石、銅、ニッケル、リチウムに投資することに焦点を当てる」と述べている。

また、「このパートナーシップを組む際、会社の払込資本金は5,000万ドルになりますが、事業の成長に合わせて見直す予定です。追加資金が必要な場合は、PIFとマアデンの両社が新会社に31億2000万ドルを上限に資金提供することで合意しています」と付け加えた。

クリティカルミネラルに対する需要の高まり

アルダウッド氏はまた、鉱山会社による投資が世界的に不足している中で、クリティカルミネラルの需要が高まっている電気自動車市場セグメントについても言及した。

コンサルティング会社ウッド・マッケンジーの見解を引用しつつ、アルダウッド氏は、低炭素社会への移行を加速するために、鉱業会社は今後10年間で約1兆7000億ドルの投資が必要であるとしている。

加えて、世界がエネルギー転換期を迎え、クリティカルミネラルの需要が急上昇する中、将来予想される深刻な鉱物不足に対処するためのプロジェクトを、大手鉱山会社や商社と協力して展開する予定だと話した。

「マアデンとの合同事業、そして双方のスキルセットと業界知識を組み合わせることで、我々はEVバリューチェーンにおけるクリティカルミネラルの供給に関する対応で役割を果たすことができると私は確信しています。我々は、大手鉱山会社や商社と協力して、将来予想される深刻な鉱物不足に備えるプロジェクトを展開し、サウジアラビアが主導的地位を維持できるように努めます」と同氏は付け加えた。

ハイライト

  • PIF幹部のアルダウッド氏は、鉱山会社による世界的な投資が不十分な中、クリティカルミネラルの需要が高まっている電気自動車市場セグメントについて説明した。
  • コンサルタント会社ウッド・マッケンジーの見解を引用し、低炭素社会への移行を加速させるためには、鉱山会社は今後10年間で約1兆7000億ドルの投資が必要とした。
  • ファンドは大手鉱山会社や商社と協力して、将来の深刻な鉱物不足に備えるプロジェクトを展開する予定だという。

アルダウッド氏によると、PIFは中核的な鉱山プロジェクトを実現し、クリティカルミネラルを世界に供給し、同時に脱炭素目標の達成を支援することに尽力するという。

「PIFは、この道のりで成功するために必要な要素をすべて備えています。資本へのアクセスと、資産のライフサイクル全体を通してグローバルに投資する意欲があります」

宝鋼、サウジアラムコとの合弁事業

5月、PIF、サウジアラビア石油公社、中国の宝山鋼鉄は、サウジアラビアに総合鋼板製造コンビナートを設立する株主協定に調印した。

アルダウッド氏は、この新施設は湾岸協力会議の加盟地域で初めてのものであり、地域の鉄鋼産業のエコシステムを前進させることになると述べた。

「このプロジェクトは、重鋼板の生産を現地化し、知識を移転し、さらなる輸出機会を創出することで、国内製造業を強化することを目的としています。これは重要な投資であり、業界にとって不可欠な展開です」とアルダウッド氏は指摘する。

コンビナートはRas Al-Khair Industrial Cityで建設される予定で、最大で年間150万トンの鋼板生産が可能になる。

アルダウッド氏によると、今回の投資は、輸入鋼材への依存を大幅に減らし、パイプライン、造船、リグ製造、海上プラットフォーム製造、タンク・圧力容器製造などの戦略的産業分野でより多くの顧客に対応することを目指して決定されたものだ。

「我々が鉱業セクターに対して行っている投資と同様に、今回の投資は、地域経済の多様化推進に貢献できる有望なセクターや戦略的に重要な産業の能力を引き出すというPIFの戦略に合致しています」とアルダウッド氏は締めくくった。

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