
ワシントン時事:米政府は日本の安保関連3文書の改定を歓迎している。中国の急速な軍備増強によって米軍が東アジア地域での優位性を失う中、防衛費増額の方針と反撃能力保持を明記したことで「日米同盟の抑止力が強まる」と評価。
専門家は日米間の指揮統制の一体化を深め、同盟を強化する新たな機会になると期待する。
バイデン大統領は16日、「地域の平和と繁栄への日本の貢献を歓迎する」とツイート。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は声明で、「自由で開かれたインド太平洋の強化と防衛に向け、勇敢かつ歴史的な一歩を踏み出した」と評価した。
米政府関係者は、「日本が反撃能力を持てば中国や北朝鮮の計算を複雑化させ、軍事行動を思いとどまらせやすい」と説明。また、岸田文雄首相が財源確保のため増税の必要性に触れたことについて、「防衛費増に向けた本気度を示した」と称賛した。
日本による米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得は同盟関係の変化の象徴だ。
精密で信頼性が高い兵器である半面、近隣諸国を刺激する恐れや機密保持の観点から、米国は提供に難色を示してきた。
米国の同盟国で保有するのは現在英国のみで、ランド研究所のジェフリー・ホーナン上級研究員は「高い技術の共有により、日本は同盟国の『エリート集団』入りする」と表現する。
戦略国際問題研究所(CSIS)のクリストファー・ジョンストン日本部長は、今後日米が共同作戦を実施するに当たり、標的識別や攻撃の役割分担を調整する必要があると指摘。
「指揮統制の再構築は同盟深化の契機となる」と強調した。
一方ホーナン氏は、文書改定の過程では反撃力など「能力」に関する議論が中心となったが、どのような状況で能力を使うかという「意図」に関する議論も深めるべきだとの見解を示した。
時事通信