
アラブニュース 東京
2018年11月に日産-ルノーアライアンス元会長カルロス・ゴーンの逮捕と軟禁が起こって以来、日本の刑事司法制度は国際世論という法廷にて自ら「裁判に」かけられることとなった。
しかし、その司法制度の最も衝撃的な告発が行われたのは、日本の元検察官郷原信郎弁護士が、1月22日に日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた記者会見で日本の司法制度に対する非難の嵐をぶちまけた時だった。
郷原氏は郷原総合コンプライアンス法律事務所に勤務し、ゴーンの弁護をしたことは一度もなかったが、彼は日本の司法制度をいわゆる「人質司法」だと人目をはばからずに批判する人 物だ。
彼は、有罪宣告率「99%」という日本の司法制度において、無罪判決を勝ち取ったごく数件の内の2件のケースを担当している。
ゴーンはグレッグ・ケリーとともに逮捕された。ケリーも日産-ルノーの元取締役の一人で、当初、給与その他の金銭報酬過剰支払いに関する金融商品取引法違反で起訴された。
ケリーは病気を理由に保釈金で釈放されたが、一方ゴーンは長期間の自宅軟禁となり、度重なる取り調べを弁護士不在で受けていた。その間、日産-ルノーでの地位は剥奪されたものの、彼は全ての容疑に対して無罪を主張し続けた。
郷原氏はこう語った:日本では、「容疑者が逮捕されると、その人間には「犯罪者」のレッテルが貼られ、検事たちの判断は実質的に有罪宣告率99%以上という司法判決の実態が基になるわけです。判決に対して被告が再度無罪を主張すれば、その人間は反省不足による再犯とみなされることがほとんどで、拘禁刑が課せられ、ある一定期間社会から隔離される事になるのです」
ゴーン被告は結局ごくわずかの間だけ保釈金で自由の身となったが、(検察側曰く)中東の自動車販売会社への支払いの一部がゴーンへ還元されていたことを始め、「所得の過少申告」に関する「特別背任」の容疑で再逮捕されたのだった。
ゴーンはその後も無罪を主張し続け、いかなる犯罪についても「自白する」ことを拒否し続けた。やがて保釈金で刑務所からは釈放されたが自宅での軟禁が課され、妻とも会えず、挙げ句の果てに日本からレバノンへ逃亡し、現在そこに居住している。
郷原氏は、ゴーンが犯した唯一の「犯罪行為」は保釈金条件を破って「日本を不法出国した」ことだけだと主張する。しかし彼によれば、遅れに遅れていたゴーンの裁判は2021年か2022年まで行われそうになかったし、審問はさらにあと5〜6年かかったはずだという。
郷原氏は、ゴーンのケースは力不足で、長期にわたる裁判の遅れの理由は特別検察官が有罪を固めるのには「証拠不十分」だったからであり、それに代わる手段として検察官はゴーンを軟禁状態に置いて「自白」に持ち込もうとしていた、つまりそれがいわゆる「人質司法」なのだと力説する。
ゴーンは、長い歴史を持つ日本企業が海外の自動車連合に吸収されるのを防ぐために、日産と日本政府によって「クーデター」が仕組まれ、そこへ検察官の助けを借りてきたのだと語る。そうした共謀が結果的に「クーデター」へ発展することはありうると郷原氏は認める。
郷原氏は、「ゴーン氏に絶望感をもたらしたものは、日本の刑事司法制度の構造であり、その構造の下では検察庁が刑事司法プロセスの管理運営を牛耳っています。一方で裁判所と弁護団が今では検察庁に抵抗する力を持つようになっています」と示唆する。
日本の刑事司法制度では、「検察庁はスーパーパワーであるはずなのに、その検事たちが間違いを犯すことがあるのです。検察庁が組織として誤った判断を下せば、犯罪者のレッテルを貼られた人間にとっては絶望的な状況となるのです」