宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前10時37分、新型ロケット「H3」試験機1号機を打ち上げる予定だったが、固体補助ロケットに着火せず、打ち上がらなかった。JAXAは同日の打ち上げを断念し、詳しい状況を調べている。
H3・1号機は1段目の主エンジンに加え、固体補助ロケット2本を装備している。打ち上げ予定時刻の約6秒前に主エンジンには着火したが、その後固体補助ロケットに着火せず、機体は発射台にとどまった。
JAXAの新型ロケットでは、2013年8月にも固体燃料ロケット「イプシロン」1号機で、打ち上げの19秒前に姿勢異常を誤検知し、打ち上がらなかったことがある。
H3・1号機は先進光学衛星「だいち3号」を搭載し、打ち上げから約17分後に所定の軌道に投入する予定だった。
H3は、2001年に運用を開始したH2Aの後継となる2段式の基幹ロケット。14年の開発開始当初からJAXAのほか、三菱重工業など民間企業が参画し、商業衛星打ち上げ市場での競争力向上を主眼に据えた。
第1段に導入した新型の液体燃料エンジンによる打ち上げ性能の向上にとどまらず、コスト削減や年間打ち上げ可能回数の増加、将来の市場変化への対応能力なども重視する。民生部品の積極的な採用などにより、H2Aの半額となる1機約50億円を目指す。
時事通信