
天皇陛下は23日、63歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、皇居・宮殿「石橋の間」で記者会見。皇室の情報発信の在り方について、「国民との信頼関係を築く上で、情報を適切なタイミングで分かりやすくお知らせしていくことも大事」との考えを示した。6月で結婚30年を迎える皇后さまへの感謝も述べた。
宮内庁は4月に広報室を発足させ、SNSの活用を検討するなど、皇室の情報発信を強化する方針だ。陛下はその前提として「皇室の在り方や活動の基本に立ち返って考える必要がある」と指摘。国民の幸せを常に願い、苦楽を共にすることが基本だとした上で、「皇室を構成する一人一人が役割と真摯(しんし)に向き合い、国民と心の交流を重ねていく中で、信頼関係が築かれていく」と語り、そのために分かりやすい情報発信も大事だとした。
皇后さまには「人生の半分以上を一緒に皇室で過ごしてくれていることに、心から感謝する」と明かした。喜びや悲しみを分かち合ってきたとして「公私にわたり良き相談相手。生活に安らぎと温かさを与えてくれている」と表現。体調は快復の途上だとし、温かく見守っていただければと理解を求めた。
昨年10月、地方訪問を約3年ぶりに再開。「皆さんとじかに会ってお話ができるようになったことは、とてもうれしいこと」と笑顔を見せ、同月の沖縄訪問を「改めて平和の大切さを深く心に刻みました」と振り返った。
コロナ禍において、社会的に弱い立場にある人々に心を寄せ続けていきたいとした上で、今後の活動について「オンラインも活用しながら、広く国民の皆さんと接することできれば」と語った。
ロシアのウクライナ侵攻などがあったこの1年を振り返る中で、各地で起きている戦争や紛争について、「私たち一人一人が平和を実現するために何ができるのか、改めて問われているのではないか」と強調した。トルコ南部で起きた大地震の犠牲者の冥福も祈り、復興を願った。
時事通信