宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日、新たな日本人宇宙飛行士候補に、世界銀行上級防災専門官の諏訪理さん(46)と、日本赤十字社医療センターの医師、米田あゆさん(28)が決まったと発表した。新たな飛行士候補の決定は2009年の油井亀美也さん(53)ら以来、14年ぶり。諏訪さんらは、日本が参加を表明している国際月探査計画で、日本人初の月面着陸を果たす可能性もある。
東京都内で同日開かれた記者会見で、米田さんは「喜びと同時に、びっくりした。その後、選んでいただいたことへの責任感や使命を感じ、身が引き締まる思いだ」と述べた。諏訪さんは、仕事で滞在中の米国からリモートで参加。「大きなキャリアシフトになる『しっかりと仕事をしていかないと』という思いを強く持っている」と話した。
諏訪さんは東京都生まれ。07年に米プリンストン大大学院を修了後、国連世界気象機関(WMO)を経て、14年に世界銀行に入行した。46歳での候補選抜は過去最高齢となる。
米田さんは東京都生まれで、19年東京大医学部を卒業後、同付属病院を経て、21年4月に日本赤十字社医療センターに入った。女性としては向井千秋さん、山崎直子さんに続き3人目となる。
今回は6回目の宇宙飛行士募集で、21年に開始され、過去最多の4127人が応募。書面審査や面接など数次の選抜を経て、昨年末までに男性8人、女性2人の計10人に絞り込まれ、今年1月から最終選抜が進んでいた。
これまでは自然科学系の4年制大学卒業以上の学歴と、3年以上の実務経験などが要件とされたが、多様な人材の応募を促すため、今回から学歴要件を撤廃。実務経験も専門分野や職種を問わず、いわゆる「文系」にも門戸が開かれた。
現在6人いるJAXAの現役飛行士はいずれも男性で、JAXAは過去1割程度だった女性応募者の比率拡大も目指した。宇宙船の技術進歩を背景に、前回は158センチ以上とされた身長の下限も149.5センチ以上とするなどした結果、女性の応募比率は22%ほどに増えた。
諏訪さんらは4月にJAXAに入り、国内外で約2年間の基礎訓練を受けた後、宇宙飛行士として認定される。
時事通信