Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • トルコの親クルド党への取締りで野党の間に懸念

トルコの親クルド党への取締りで野党の間に懸念

トルコの親クルド派国民民主主義党(HDP)の集会に参加する支援者たち(AFP 提出写真)
トルコの親クルド派国民民主主義党(HDP)の集会に参加する支援者たち(AFP 提出写真)
Short Url:
10 Oct 2020 10:10:17 GMT9
10 Oct 2020 10:10:17 GMT9

アラブニュース

  • 2014年の抗議活動との関連で10月8日に4人のHDP党員が逮捕された

アンカラ—- トルコの親クルド派国民民主主義党(HDP)に対する取締りが、政府の隠された動機および野党に堤された危険に対する懸念を駆り立てている。

HDPの4人の党員(カルス県東部のセヴィン・アラカ共同市長など)が2014年の抗議活動との関連で10月8日に逮捕された。同抗議活動での最近の逮捕者は16人となった。

ダーイシュがシリアの国境付近のクルド人拠点都市コバニを包囲したことに対して2014年10月に南東部の県で反政府抗議活動が起きたが、それを煽った罪での逮捕だ。伝えられたところによれば、デモ隊は、トルコ政府がダーイシュからコバニを守ることができなかったと主張した。

最近の逮捕は、トルコが公正発展党(AKP)を支配してHDPを弱体化する試みによるものだと見る者もいる。HDPの直近の総選挙での得票率は13%だった。

HDPのミトハト・サンジャル共同議長は10月7日にハルクテレビに話をし、HDPを閉鎖するために政府が払う政治的犠牲はあまりにも大きいが、政府は確実にHDPを機能不全に陥らせようとしていると主張した。

「憲法裁判所は近頃、さらにいっそう圧力を受けており、脅迫を受けています」と彼は述べた。「ですから、我々はHDPの閉鎖には驚きません。ただし、政府は今はこの方法を取りたくありません。これには政治的な犠牲を伴い、国内外からの反応を引き起こすからです。事実上、機能しない政党にすることにより、犠牲の少ない手段をとる可能性があるのは、そのような理由です。」

イスタンブールのサバンジュ大学の政治アナリスト、ベルク・エッセン氏がアラブニュースに語ったところによれば、政府が単純にHDPを閉鎖しない理由はいくつかあり、中でも大きな理由は、過去のイスラム主義運動の傷になった政党禁止の先例を作りたくないというものだ。2008年に、AKPが裁判にかけられ、閉鎖されそうになり、その指導者たちは常に政党禁止に反対することを約束してきたのだ。

政党禁止は、欧州連合からトルコに対する激しい反感を引き起こす可能性があるとエッセン氏は言い添えた。スウェーデンの左翼政党の委員会は、その議長も含め、10月6日にアンカラのHDPの本部を訪れ、HDPの黙殺について懸念を表明した。彼らはHDPの黙殺はトルコにとって「大きな損失」であると見ている。

「HDPを存続させながらも極端に弱体化させることで、政府はトルコが民主主義体制をとっているという印象を保つことができます。たとえ、政治の仕組みがもはや民主主義の最低限の要件すら満たさなくなっているとしてもです」とエッセン氏は話した。

エッセン氏は次のように言い添えた。HDPはまた、与党とそのパートナー、極右勢力の民族主義者行動党(MHP)の同盟の集結場所としての役割も果たしており、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領政権が超国家主義者である有権者の支持を得るためにも役立っている。

エッセン氏は、「さらに言えば、政府はHDPの運営を制限するために党を閉鎖する必要はありません。政府は既にHDPが支配するほとんどの自治体に管理者を指名しており、何百人もの政党の官僚を逮捕しています。その中には元のリーダーもいます」と話した。

2019年の地方選挙では、HDP(トルコ第三の規模の政党)が全国の65の自治体で勝利したが、職務を続けているのはそのうちの6つの首長だけだ。他の首長はテロ関連の嫌疑で職を解かれ、彼らの職務を継いだのは政府が指名した官僚だった。

「政府の取締りでHDPは大打撃を受け、組織としてこれから何ヶ月も続く試練に直面しています。この時点で、抵抗は主に投票箱に託されて残っています。誠実な投票者は投票で支援し続けます」とエッセン氏は述べた。

ドイツ国際・安全保障問題研究所内のトルコ応用研究センター(CATS)準会員、シネム・アダール女史にとって、HDPへの直近の取締りは、2015年6月のトルコの選挙以来明らかになっている全般的な動向と一致している—-エルドアン大統領の政党とMHPによるクルド人の政治的代表に対する体系的な攻撃だ。

彼女がアラブニューに語ったところによれば、「この動向には様々な手段があります。クルド人の国会議員から不逮捕特権を剥奪する、彼らを犯罪者に仕立てる、彼らを政治手続きから排除する、また、最後になりましたが、決して軽視してはいけないのが、選挙で選ばれた首長を政府が指名した受託者に入れ替えるというものなどです」。

彼女は続けた。「2016年のクーデター未遂事件の後、保安機構内の民族主義派がこの動向に加わりました。トルコ軍の介入によるシリア北部の進展に関しては、与党はクルド人の政治の代表と参加を抑圧することに懸命になっています。」

他の野党の間でも、HDPに起きることは自分たちの身にも起きるという懸念が広がっている。

「どの政党か、誰の体験かにかかわらず、すべての権利の侵害に対して私たちは立ち上がるべきです」と優良党の立法者、ハサン・スバシ氏が10月6日にテレビ放送の演説の中で語った。彼は、HDPのないトルコ国会はトルコを代表するものではなく、「反民主主義」であると付け加えた。

アダール女史によれば、HDP党員の政治的権利を侵す行為は、政府がHDPと最大野党、特に共和人民党(CHP)との間に楔を打つために使ってきた戦術だ。「結局は、2019年3月の選挙は、クルド人が政界の実力者であることを明確に示しました」と彼女は話した。

CHP自体に関しても、取締りが政府の分割統治戦術の一部として機能し得るとアダール女子は述べた。

「CHPは、クルド問題に講じるべき対策に関して必ずしもお互いに賛同しない可能性のある様々な派閥があることで知られています。HDPへの体系的な抑圧は、また、CHP内に既にある意見の相違を刺激する手段にもなり得ます」と彼女は語った。

特に人気
オススメ

return to top