日韓両政府は7日、来週後半にも日本で岸田文雄首相と尹錫悦大統領の会談を行う調整に入った。韓国政府による元徴用工問題の解決策発表後、早期に首脳同士が会うことで、関係改善の流れを内外に示したい考え。解決策に韓国内で批判の声が上がり、日本側にも決着に懐疑論がある現状を踏まえ、会談後の発表内容を慎重に擦り合わせる。
日本での首脳会談は、日中韓首脳会談に合わせて開かれた2018年5月以来で、22年5月の尹政権発足後は初めて。岸田、尹両氏の正式会談は同年11月にカンボジアで行ったのに次いで2回目。
首相は韓国政府が解決策を発表した6日、「この機を逃さず関係強化を推進したい」と自民党役員会で語った。尹氏は首脳が交互に訪問する「シャトル外交」復活を目指しており、日本政府にも望ましいとの意見がある。
会談で首相は、日本企業が命じられた賠償を韓国の財団が肩代わりする解決策を評価すると伝達。植民地支配に対する「痛切な反省と心からのおわび」を明記した1998年の日韓共同宣言を含め、歴史認識で歴代内閣の立場を踏襲する意向も示すとみられる。
ただ、日本国内では15年の慰安婦合意がその後に韓国側で事実上ほごにされた経緯を踏まえ、保守系を中心にその再現を不安視する声がある。自民党中堅は「前のめりな姿勢は禁物だ」と指摘。林芳正外相は7日の記者会見で、韓国が解決策を「着実に実施することを期待する」と述べた。
韓国内でも原告の一部や野党が解決策に反発している。
両首脳が会談を急ぐのは、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応で連携をアピールする狙いもある。安全保障面で協力する必要性を訴え、懸案解決に双方の世論の理解を得る機会にしたい考えだ。
時事通信