女性従業員の「働きがい」醸成に取り組む企業が増えている。時短勤務など制度だけ手厚くても、やりがいがなければ管理職への挑戦も先細る。
昇進によって賃金面などの男女格差を解消し、職場全体を活性化させたい考えだ。8日は国際女性デー。
男女格差の大きさを示す国際比較で、日本は先進国中最低ランクにとどまっており、待ったなしの対応を迫られている。
人材業大手のレバレジーズグループは、調査機関GPTWジャパンによる「女性にとって働きがいのある会社ランキング(大規模部門)」で2023年の国内1位に選ばれた。
新人も含めた部署横断の事業コンテストや、先輩社員に気軽に悩みを相談できる仕組みを導入しており、出産した女性の多くが「仕事が好きだから」という理由で職場復帰するという。
GPTWジャパンは、「採用・育成・配置・評価において、年齢や性別などにかかわらず、全員を正当に扱うという方針が明確」と評価する。
リクルートの社内調査によると、同社の非管理職の30代女性社員は、同世代の男性に比べ「職場で自分の強みを発揮できている」と思う割合が少なかった。
このため、主体性の向上を目指すキャリア研修を実施したところ、「管理職も視野に入れたい」という人が参加者全体の60%から84%に増えたという。
JR東海も中堅女性社員を対象に、出産経験のある社員や異業種の女性と交流する機会を提供。今後のキャリアを具体的にイメージできるよう後押ししている。
生理や更年期にまつわる不調など、女性特有の体の悩みに寄り添う試みも始まっている。
サントリーは著名産婦人科医の高尾美穂さんをアドバイザーに起用し、女性社員に情報を発信。高尾さんに直接相談できる仕組みも導入し、好評を得ているという。
人的資本経営に詳しい大湾秀雄早大教授は、「女性の働きがい醸成には、自律的なキャリア形成ができることが重要」と指摘する。
格差是正に向け、企業には「女性は長時間労働できない」といった偏見の排除や、男性の育休取得拡大などを求めている。
時事通信