
警察庁は6日、昨年の犯罪情勢統計(暫定値)を公表した。全国の警察が把握(認知)した刑法犯は74万8623件で、5年連続で戦後最少を更新した。一方、虐待の疑いで児童相談所(児相)に通告した子どもの数やサイバー犯罪の摘発件数は過去最高となり、同庁は「予断を許さない状況にある」と分析した。
児相に通告した18歳未満の子どもは9万7842人で、前年より21.9%増加。言葉による脅しや無視、目の前で家族に暴力を振るうなどの「心理的虐待」が7万441人で約7割を占め、「身体的虐待」が1万8219人、「育児放棄(ネグレクト)」が8920人、「性的虐待」が262人となった。
警察が虐待を事件として摘発した件数も1957件(前年比41.8%増)で最多を更新した。配偶者などパートナーからの暴力(DV)も相談(8万2201件)、摘発(9083件)ともに過去最多となった。
サイバー犯罪の摘発件数は9542件で前年比5.6%増。インターネット交流サイト(SNS)を通じて犯罪被害に遭った子どもは2095人で最多となった。
サイバー攻撃も増加している。警察が検知した不審なアクセスは一つのIPアドレス(インターネット上の住所)当たり1日平均4192.0件で、前年の2752.8件から急増した。
一方、刑法犯全体の件数は17年連続で減少した。自治体やボランティアによる防犯活動や防犯カメラの普及などで窃盗事件が減ったことが主な要因。特殊詐欺の被害件数は1万6836件で前年比5.6%減だったが、電話で資産状況を調べた上で家に押し入る「アポ電強盗」が発生するなど深刻な状況が続く。
時事通信社