
東京:中国の習近平国家主席の今春の訪日に向けた日中事前協議は、中国政府が新型肺炎の拡大への対応に忙殺されているあおりを受け停滞している。
日本の関係当局者の間では、4月上旬に予定されていた訪日の実現を危ぶむ声も出始めている。
新型肺炎の拡大が続く中、菅義偉官房長官は水曜の記者会見で「訪問を予定通りに行うべく準備を粛々と進める。日本側から延期を求めることはないと考えている」と述べた。
自民党幹部は「両国の指導者が感染拡大防止に取り組むことで合意できればいい」と述べ、習主席の訪日実現や安倍晋三首相との会談の必要性を強調した。
日中両政府は、今年初めから習主席の来日日程に関する非公式協議を続けてきた。しかし、中国発の新型肺炎の感染拡大を受け、今月に予定されていた会合の一部は延期を余儀なくされたと情報筋は語る。
習主席の訪日に先立ち、中国外交を統括する楊潔※(※=竹カンムリに褫のツクリ)共産党政治局員らの来日も予定している。しかし、具体的な日程協議は進んでいない。
1998年9月に予定されていた江沢民国家主席の訪日は、当時の中国で起きた大洪水に対処するため、2か月延期された。
日本の外務省幹部は「現在中国は感染症に対処することに専念しており、外交について話す状況ではない」と指摘する。
日本政府高官は、中国のリーダーである習主席を迎える準備は進めるが、「事情によっては、直前になって習近平国家主席の訪問がキャンセルされる可能性もある」と述べた。
別の高官は「中国側が中止を求めない限り、日本側は準備を進めるしかない」と語った。
時事通信社