長野県中野市で住民女性と警察官計4人が刃物や猟銃で殺害された事件で、自宅に立てこもり、警察官への殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者(31)が、最初に刃物で襲った竹内靖子さん(70)の遺体を路上から自宅敷地内に移動させていたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。4人とも即死で、死因は失血死だったことも判明した。
「自分が孤独でいることをばかにされたと思い、女性を殺した」と供述していたことも分かった。県警は、女性らが悪口を言っていると青木容疑者が思い込んで一方的に恨みを募らせ、計画的に殺害に及んだとみて、経緯などを調べている。
事件は25日午後4時25分ごろ発生。同市江部で村上幸枝さん(66)が刺殺され、通報を受けて駆け付けた中野署の玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)が銃撃されて死亡した。竹内さんも刺され、死亡しているのが見つかった。
村上さんと竹内さんは、青木容疑者の自宅近くを一緒に散歩していたところを襲われたとみられる。捜査関係者によると、青木容疑者は襲撃後、農作業用の手押し車で竹内さんの遺体を路上から自宅敷地内に移動させたという。遺体を隠す狙いがあったとみられる。
動機については「自分が孤独で、そのことをばかにされたと思った」と話しているという。ただ、同容疑者と2人に面識があったことはこれまで確認されておらず、県警は思い込みだったとみている。
青木容疑者は自宅近くで果樹園を経営していたが、付近の住民によると、地元の会合などに出席することはなく、出会ってもあいさつすることはほとんどなかった。最近は引きこもり気味だったとされる。
目撃証言などによると、青木容疑者はサバイバルナイフのようなもので竹内さんを襲った後、逃げる村上さんを追い掛け、殺害したとみられる。警察官2人はパトカーで現場に駆け付けたが、銃撃され死亡。同容疑者は「射殺されると思い銃撃した」などと供述している。
時事通信