
猟銃や空気銃の所持許可の新規申請が近年、7000人台で推移し、10年余り前と比べて約2倍に増え、20~30代の所持が増加傾向にあることが31日、警察庁への取材で分かった。2009年に厳格化された許可要件がその後に一部緩和されたことや、狩猟やクレー射撃のブームも影響しているもようだ。
警察庁によると、新たに銃所持を希望し初心者講習を受けた人は、銃刀法が改正され許可要件が厳格化された直後の10年に3749人だった。当時、許可時などに必要な診断書の作成は精神科医に限定されていたが、15年に地域のかかりつけ医にも認められると、同年の受講者が7251人に増加。以降は右肩上がりに推移し、22年は7906人に上った。
21年末時点の年代別所持者について、統計が確認できる12年末時点と比較すると、20代が596人増の3084人、30代は496人増の6284人。40代以降で減少傾向にあり、特に60歳以上が5万1857人と約2万人減り、総数は約2万6000人減の8万7973人だった。
新規申請者が増加傾向にある中、判断能力に問題があるなどの欠格者の見極めは許可・更新時の診断などでは難しいとの指摘が出ている。
銃器に詳しい評論家の津田哲也氏は、「過去に起きた猟銃使用事件の例を見ると、家庭内や近隣トラブルから発展している。長野県中野市であった今回の事件も手元に銃がなければ警察官への銃撃は防ぐことができた」と強調。その上で「人の目で欠格者を判断するのは難しい」とし、鳥獣駆除など以外は銃砲店への委託保管の義務化を提案する。
時事通信