米国、日本、韓国は、2023年末までに北朝鮮によるミサイル発射の警戒データを共有することを目指す。3日にシンガポールで行われた防衛相会談の後に3ヶ国が声明を出した。
この発表は、今週北朝鮮が軍事偵察衛星の発射を試みたことを受けたものだ。結果としてロケットに異常が発生して海上に落下したが、北朝鮮が禁止をよそに実施している一連の発射実験の最新の事例となった。
共同声明は次のように述べている。「(3ヶ国は)ミサイル警戒データをリアルタイムに共有するためのメカニズムの年内始動に向けた三国間の取り組みを確認した。(北朝鮮によって)発射されたミサイルを検知・評価する各国の能力を向上させることが目的である」
米国のロイド・オースティン国防長官、日本の浜田靖一防衛相、韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相は、アジア安全保障会議(シャングリラ会合)に合わせて会談を行った。
声明によると、「(三者は)朝鮮民主主義人民共和国からの核・ミサイルの脅威の増大について、また三国間安全保障演習の強化やインド太平洋地域における共通の安全保障上の課題への対処のための取り組みについて協議した」
韓国国防省は別の声明の中で、「(同国は)今後数ヶ月間、ミサイル警戒情報のリアルタイム共有メカニズムの始動に向けてさらなる進展を実現すべく取り組む」と述べた。
浜田防衛相は記者会見で、「(この構想は)北朝鮮によって発射されたミサイルの脅威を検知・評価する各国の能力を向上させるものであり、早期に実現できるようしっかりと取り組んでいく」と述べた。
米国防省のある高官はこの発表に先立ち、このデータ共有計画において最終的に重要なのは「三国間協力の強化であり、それは3ヶ国全ての利益となり、抑止力を強化し、この協力を組織化するものであると考える」と述べた。
日米韓はいずれも、北朝鮮による失敗した衛星打ち上げを、同国が弾道ミサイル技術を用いた実験を実施することを禁じた一連の国連決議に違反するものであるとして非難した。
韓国軍は、北朝鮮が打ち上げた衛星の残骸とみられるものの一部を発見し回収したと発表した。
北朝鮮は宇宙空間において機能する人工衛星を保有していない。国連決議がそのような技術の使用を禁止しているのをよそに、同国指導者の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は軍事偵察衛星の開発を最優先事項としている。
宇宙への打ち上げに使用されるロケットと長距離ミサイルには同じ技術が使われるため、北朝鮮は衛星を軌道に乗せる能力の開発を隠れ蓑として、禁止されている大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を行うことができるとアナリストらは指摘している。
今回の失敗した打ち上げ以前に、北朝鮮は1998年以降5つの衛星を打ち上げている。そのうち3つはすぐに失敗に終わり、2つは軌道に乗ったとみられる。
2019年に外交努力が崩壊して以来、北朝鮮は軍事開発を強化しており、複数のICBMの発射実験を含む禁止兵器の実験を相次いで実施している。
金総書記は昨年、同国を「不可逆的な」核保有国とすると宣言し、戦術核兵器を含む兵器の「指数関数的な」増産を求めた。
日米韓は声明の中で、北朝鮮の大量破壊兵器・弾道ミサイル開発計画は「国際社会の平和と安定に深刻な脅威をもたらす」ものだと述べた。
AFP