
防衛省は、航空自衛隊のC2輸送機に長射程ミサイルを搭載する検討に入った。敵部隊・艦艇の射程外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」整備の一環。敵のミサイル拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)としての使用も想定している。複数の政府関係者が6日、明らかにした。
同省が検討するのは、ミサイルを積んだ容器ごと投下し、空中でエンジンに点火、発射する方式。大きな機体改修を伴わない利点があり、米国でも同様の技術開発が進む。2023年度予算に関連経費として約36億円を計上。24年度まで技術的な研究を行った後、本格的な開発に着手する見通しだ。
搭載するミサイルについて、新規の開発や調達は行わない方向。F15戦闘機向けに導入する米国製「JASSM」(射程約900キロ)や、開発中の国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」改良型(同約1000キロ)の航空機発射型が候補となる。
スタンド・オフ防衛では、陸上自衛隊の地上発射機や海上自衛隊の護衛艦、空自の戦闘機が遠方から侵攻部隊を迎撃する。C2は主要な戦闘機より多くのミサイル搭載が見込まれる。航続距離も長く、長時間空域にとどまることが可能だ。
迎撃手段が広がれば、相手にとって侵攻の難易度が増す。政府は昨年策定した防衛力整備計画に「発射プラットフォームのさらなる多様化」を明記し、輸送機搭載システムの検討を盛り込んだ。同省は併せて、海自潜水艦から発射するミサイル開発も進める。
時事通信