全国で相次いだ広域強盗のうち、唯一死者が出た1月の東京都狛江市の強盗致死事件を指示したとして、警視庁捜査1課は12日、強盗殺人容疑などで、フィリピンから強制送還された特殊詐欺グループのリーダー格渡辺優樹(39)、幹部今村磨人(39)、同藤田聖也(39)、同小島智信(45)各容疑者を再逮捕した。
警視庁は実行役らの供述や携帯電話の解析などにより、4人がフィリピンの入管施設から強盗を指示したと判断。殺意もあったと認定した。
再逮捕容疑は1月19日昼ごろ、実行役と共謀し、狛江市の自宅で大塩衣与さん=当時(90)=の両手首を結束バンドで縛った上、バールで殴るなどして殺害。高級腕時計3本とダイヤモンド付き指輪の計4点(約59万円相当)を奪った疑い。
同課はいずれの認否も明らかにしていない。
同課などによると、グループメンバーで、4人と同時期に入管施設にいた女(27)=窃盗未遂容疑で逮捕=は、狛江事件当日の渡辺容疑者らの様子について、「電話で何者かに対し、『指を折ってしまえ』と話していた」と供述。藤田容疑者について「アカウントに韓国系の名前を使っていた」と説明するなどした。
渡辺容疑者らは「キム」「ミツハシ」などと名乗り、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で指示を出したとみられ、闇バイトで集められた男4人が実行役として強盗致死罪で起訴された。小島容疑者は実行役の勧誘役だったとみられる。
事件3日前、テレグラムに「高齢女性案件」というタイトルのグループチャットを作成。指示役の「キム」「シュガー」「ミツハシ」のほか、実行役の「カルパス」「たちばな」「夜空」「ヒロ」を名乗るアカウントが参加しており、強盗の計画についてやりとりしたとみられる。
渡辺容疑者ら4人はフィリピンを拠点に活動していたが、2019年12月~21年4月、同国で拘束された。今年2月に強制送還され特殊詐欺に絡む窃盗罪で起訴された。
小島容疑者を除く3人は、狛江の事件翌日に足立区内で発生した空き巣事件でも指示役として逮捕されている。「ルフィ」などと名乗り一連の事件を指示したとみて、警視庁は今後、広島や山口各県で起きた強盗事件などへの関与も調べる。
時事通信