
ニューヨーク:反政府勢力フーシ派の代表団は先週、リヤドで5日間にわたり、敵対行為の終結を早める可能性をもつ合意について協議を行った。2014年にイエメン内戦が勃発して以来、フーシ派にとって初のサウジアラビア公式訪問となった。
外国軍がイエメンから撤退するタイムラインや公務員給与の支払い方法など、具体的な論点の多くについて進展が報告された。フーシ派が支配する港とサヌア空港の全面再開も、この復興努力とともに議論された問題のひとつである。
アントニー・ブリンケン米国務長官は、過去9年間にわたる王国によるフーシ派との交渉のなかでも最高レベルの公的交渉である今回の会談を「絶好の機会」である称賛した。サウジ政府は「真剣な協議による、前向きな結果を歓迎する」と述べた。
しかし、イエメンにおける暴力が全般的に減少しているにもかかわらず、国連当局者は、現地の状況は依然として「脆弱かつ困難」であり、「前線が沈黙しているわけではない」と警告している。
2021年2月から米国のイエメン担当特使を務めるティモシー・レンダーキング氏によると、米国当局は、何十万人もの死傷者を出し、イエメンの人口の80%を人道援助に依存させているこの紛争を終わらせるために、たゆまぬ努力を続けているという。
「私は24時間365日、イエメンに取り組んでいる。イエメンは私のゴールだ。私の心の使命だ。私のチームの使命だ」とレンダーキング氏は、第78回国連総会の傍ら、ニューヨークでアラブニュースのインタビューに答えた。
「多くの人々を避難に追い込み、殺害し、地域を混乱させたこの恐ろしい戦争を、公正かつ包括的な方法で終結させることは、バイデン政権の使命だ」
この1年、イエメンは人道的な課題と緊張緩和の両方で特徴づけられていたが、アラビア湾地域担当の副次官補という公式の肩書を持つキャリア外交官であるレンダーキング氏は、国際的に認知されたイエメン政府とイランが支援する反政府勢力フーシ派が2022年4月に休戦合意に達して以来、概して楽観的な見解を示してきた。
昨年、停戦が発効してから数カ月後、第77回国連総会の傍らで同氏はアラブニュースに対し、イエメンの人々にとっての利益が開かれたため、翌数カ月には恒久的な停戦が合意される可能性があると述べた。
「昨年、停戦後に18か月間の緊張緩和状態が続き、越境攻撃もなかった。私の楽観的な観測は間違っていなかったと考えている」とレンダーキング氏は述べた。
「戦争初期の攻撃のペースと激しさを思い出してほしい。2020年には、イエメンから400回以上の攻撃があった。今や首都サヌアの空港は商業便が発着している。その数は週3便から6便に拡大している」
レンダーキング氏は、この進展を「バケツの中の一滴」と評したが、イエメンの住民にとっては「それでも良い進展であり、目に見える利益を意味する」と付け加えた。
「結局のところ、両者は過去数年間激しく戦ってきた。そして、彼らが話し合い、訪問し、お互いの首都で何日も過ごすことは、非常に重要な進展である」
「誰も、ブレークスルーが起きたとは言っていない。しかし、これらの接触はポジティブなものであり、今後も継続されるだろう。私たちは、彼らが前向きな結果に向けて努力し、長年続いてきた不信を解きほぐすことを強く望んでいる。いずれ彼らは共に生きなければならないのだから」
「サウジアラビアとフーシ派の間で非常にポジティブな形でなされてきた多大な努力は、国連主導のプロセスに移行する必要がある。私たちは、非常にポジティブではあるが、十分でない現在の停戦を超えて、恒久的な休戦とイエメン人同士の政治的対話へと移行したいと考えている」と彼は付け加えた。
「イエメンの未来はこうして決まる。外部の勢力によってではない。イエメン内の1つの政党が他の政党に指示することによってでもない。それは、イエメン人同士による包括的なプロセスでなければならない。そして、その背後には国際的なコンセンサスがあり、私たちはそれを支持している」
レンダーキング氏は、イエメン大統領評議会ラシャド・アル・アリミ議長が、米国およびP3(安全保障理事会の3常任理事国:米国、英国、フランス)が関与するいくつかの会合に出席したことは、彼のリーダーシップに対する、国際的な強い指示を象徴していると述べた。
これらすべての要素が、国際的な支援があれば、国連主導のイニシアティブとイエメン人同士の対話に向けての進展が近い将来に可能であると信じさせる理由を提供していると、同氏は述べた。
(21日の国連総会一般討論で、アル・アリミ議長は国際社会に対し、フーシ派への武器や資源の流れを食い止めるための措置を強化するよう求め、資金が公認の政府系金融機関に向けられなければ、「イエメンの諸機関はこれらの越境問題に対処するのに必要な資源を持つことができない」と警告した)
サウジアラビアとイランの和解が、イエメンの紛争当事者に現在の状況をもたらす役割を果たしたかどうか尋ねられたレンダーキング氏は、イエメンの停戦を達成し維持するために行われた下準備の多くは、今年3月10日に中国が仲介したサウジ・イランの2つの中東大国間における合意が発表される前から、すでに動き出していたと述べた。
「サウジアラビアとイランの合意から見えてくるのは、イエメンに対するイランの姿勢が変わったかどうかだ。安保理決議に違反し、戦争に拍車をかけたフーシ派への致命的な武器や援助の密輸から脱却するのか。そして、イランは政治的解決を支持するつもりなのだろうか?レンダーキングは言う。
サウジアラビアとイランの合意から、イランのイエメンに対する姿勢が変化したかどうかを見たいと考えている。イランは、国連安保理決議に違反し、戦争をエスカレートさせるフーシ派への致命的な武器や援助の密輸から脱却しているのか?そして、イランは政治的解決を支持するのか?」とレンダーキング氏は述べた。
「私たちは、イランはその方向に向かっていると聞いている。イランからの積極的な公式声明も確認している。イエメンに対するイランの新たな姿勢は、ポジティブな方向を支持するものであり、米国はそれを好意的に受け止めるだろう」
レンダーキング氏は、停戦合意期間が失効したにもかかわらず、フーシ派が敵対行為を再開しないことを選択したことは非常に重要であり、これは停戦延長による緊張緩和が続く中で、フーシ派の考え方に変化が生じていることを示している可能性があると述べた。
レンダーキング氏は、フーシ派は拘束されている人々を解放し、軍事委員会の枠組みで相手側と話し合いに応じるという新たな意志を示したと考えている。
このようなレベルの関与は「戦争の全期間を通じてこのペースでは起こっていなかった。これは、この内戦が10年近く前に勃発して以来、イエメンが得た最高の和平の機会だ。だからこそ、米国の努力は今、これほど精力的に、活発に行われているのだ」と彼は述べた。
「ここニューヨークで、ブリンケン国務長官は滞在中、イエメンに焦点を当てた会合を少なくとも3回行った。ニューヨークでは、気候、ロシア・ウクライナ戦争、その他の人道的問題など、国際的な議題が山積していることを忘れないでほしい。つまり、イエメンは世界の指導者たちの間でその大切な時間をかけるに値する議題なのだ。これは、非常にポジティブなことだと、私たちは捉えている」
2022年2月のウクライナ侵攻以来、米国とロシア間の外交ルートは事実上断たれているが、イエメンの進め方についてはP5の間で意見の相違はない。
P5は政治的解決の必要性で一致している。この団結は「私たちにとって大きな財産だ」とレンダーキング氏は語った。
「安保理は相当な結束を示しており、国連事務総長イエメン担当特使ハンス・グルンドベルグ氏の努力、人道危機への支援を強く支持している。これは喜ばしいことだ。主要なプレーヤーの間でこの結束した姿勢があるという事実は、本当に有効活用しなければならない」
「イエメンの和平に対する支持に関しては、私たちは何であれ、それが十分だとは考えていない。私たちは解決に向けて取り組まなければならない。私たちが得た進歩を維持するために、非常に、非常に積極的になければならない」
今年の多国間システムの注目すべき成功事例の一つは、イエメンにも関連している。何年もの間、イエメン沖に係留されていた老朽化した貯蔵船「セイファー号」から100万バレル以上の原油がサルベージ船に移されたことで、紅海で発生する大規模な原油流出の脅威は回避された。セイファー号は「時限爆弾」と表現されてきた。
「民間企業、石油会社、各国政府、そして世界中の個人から資金を集めたクラウドファンディングの取り組みを含む、想像を超えた連帯の活躍による、信じられないストーリーだと思っている。メリーランド州ベセスダの小学生たちがレモネードを売って資金を集めたのも、この原油流出事故が環境に及ぼす影響を止めようとした努力の一例だ」とレンダーキング氏は述べた。
「そして、これは協力に関する理想的なモデルでもある。なぜなら、私たちは危機状況に陥る前に、その問題を回避するために協力したからだ。これは世界の舞台では珍しい行動だ。ここニューヨークでは、ほとんどすべての会話は、すでに起こってしまったことについて、どう対処すればよいか、についてだ。だから、これは素晴らしい取り組みだった」
一方、イエメンは世界最大の人道危機のひとつであり続けている。2023年には2160万人のイエメン人が何らかの人道支援を必要としており、人口の80%が食卓に食べ物を並べたり、基本的なサービスを利用したりするのにも苦労している。国連は資金援助を訴えているが、これまでのところ目標の30%しか達成されていない。
「イエメンの経済は崩壊している。国の経済力を活性化させなければならない」とレンダーキング氏は語った。「そうしたいという熱意はあると思う。私たちは。IMF、世界銀行などの国際金融機関と定期的に連絡を取り合っている。そして、最近までは互いに銃を打ち合っていたような当事者同士の個人的な関わり合いを通じて、不信感を解消しなければならない。今、彼らは話し合っている」
「今、共通の成果と目標は平和でなければならない。それは、国連主導の国際的な支援の下、これらのさまざまなポジティブな糸を紡ぎ合わせて推し進める平和合意だ。最終的に国連には、ロードマップを作成し、このすべてのポジティブな動きを活かして、イエメン人同士の交渉に向けて推進していく責任がある」