ニューヨーク:パレスチナの国連常任監視員は8日、国際社会に対して、イスラエルに「恐ろしい選択をさらに増幅」させず、代わりに方向転換を奨励し、「パレスチナ人もイスラエル人も死ぬことなく平和を実現する方法はある。それは、イスラエルが実行に移したものとは正反対のものだ。」と認識させるよう要請した。
マルタおよびその後UAEの呼びかけにより開催された、イスラエルとガザでの紛争拡大をめぐる非公開緊急協議に集った15か国の大使らが行き交うニューヨーク国連本部の安全保障理事会議場の外で、リヤド・マンスール氏は記者団に語った。
ハマス武装集団による前例のない広範囲にわたるイスラエル侵攻では、数千発のロケット弾が発射され、700人以上のイスラエル人が犠牲となった。イスラエルによるガザ空爆では、少なくとも415人のパレスチナ人が死亡した。
会合において評議会メンバーの間で声明は合意されず、それついて中国の張軍大使は帰り際、「異常だ」と記者団に述べた。
マンスール氏は「一部のメディアと政治家は、イスラエル人が殺害されたときに歴史が始まると考えている。我が国では、人々は来る年も来る年も命の危険にさらされ続け、それに耐えてきた。
我々は毎月安全保障理事会に出席し、イスラエルの不処罰と国際的な無策がどんな結果をもたらすかについて警告していた。」と遺憾の意を表した。
同氏は、パレスチナ人民は平和的な道を選択したと述べ、世界はこの選択を支持する義務があると付け加えた。
「昨年10月、我々は安全保障理事会の前に次のように述べた。パレスチナ人民はいつか、何らかの形で自由になるだろう。 我々は国際社会に支持される平和的な道を選んだ。 我々自身のためにも彼らのためにも、イスラエルに我々の鼻を明かすことはさせてはならない」とマンスール氏は語った。
「現在イスラエルは、同じ誤った根拠のもとにさらに別の攻撃を正当化しようとしているが、それを奨励するような発言や行動があってはならない。
「『イスラエルが自国を守る権利』というメッセージは、イスラエルにとっては殺人の許可、つまり我々がこの状態に至ったまさにその道を追求する許可として解釈されるだろうということを、我々はよく分かっている。」
同氏はさらに、「1日ですでに370人ものパレスチナ人が犠牲になった。その中には生後数カ月の赤子を含む子供たちも含まれている。多数の家族が寝ている間に皆殺しにされたのだ。これが安全をもたらすのだろうか? 平和を推進するのだろうか?」と付け加えた。
イスラエルは長年、ガザ包囲と飛び地への「度重なる攻撃」について、ハマスの軍事力を弱めイスラエルの安全を確保することを目的としたものだと主張してきたが、マンスール氏は「明らかに、そして予想通り」イスラエルがその目標を全く達成できなかったと述べた。
同氏は、「(イスラエルが)成し遂げたのは、民間人全体にひどい苦痛を与えたことだけだ」と付け加えた。
「今こそ暴力と流血を直ちに終わらせ、この封鎖を終わらせて政治的な展望を開く時だ。」
マンスール氏は、占領軍によって国際法が侵害された場合にパレスチナ人に対する国際的保護が欠如していることに疑問を呈し、パレスチナ人の命が不平等に扱われていることに関する道徳上および法律上の根本的な問題を提起した。
同氏は、パレスチナの民間人を保護することは道徳的義務のみならず、和平達成に向けた重要な一歩でもあると主張した。
「占領軍が国際法に違反し、国際法で保護されるべき人々に危害を加えたとき、パレスチナ国民が受ける権利のある国際的保護はどこにあるのか? パレスチナ人の命は、救う価値がないのか?
占領下のパレスチナで殺されたパレスチナの民間人や子供たちは、死ななくて済んだかもしれない。これは道徳的、法的義務であり、平和への貢献なのではないか? 殺されたのがパレスチナ人だと、何も行われないのは何故なのか?
ここでどのような論理が有効とされるべきかをよく考える必要がある。これが復讐のためならば、パレスチナ人の多くは報復すべきことがたくさんあると感じるだろう。これが平和のためならば、そこに至る道は、抑圧と占領をさらに強化することではなく、それらを終わらせることだ。
『イスラエル人の殺害は正当化し得ない』と言うならば、パレスチナ人の殺害も正当化することはできない。我々は人間以下の存在ではない。我々の人間性を貶め権利を否定したり、我々の土地の占領や国民の抑圧を無視したりするようなレトリックを、我々は決して受け入れない。」
マンスール氏は国際社会に対し、パレスチナ人の命と権利を優先する別の方針を検討するよう促した。
同氏は自由と安全への対策を同等に求め、占領に立ち向かうことは道徳的のみならず、法的、政治的にも正しいことであると強調した。
イスラエルの国連常任代表ギラッド・エルダンも安保理会合の前に会見し、ハマスの攻撃を「イスラエルの9/11」と表現して、ハマスが「残酷な大虐殺、冷血な殺害行為」を実行したと非難し、その行為は「立証済みの露骨な戦争犯罪」だと述べた。
同氏はイスラエルが、ハマスを「明白に」非難し、イスラエルの防衛に「断固とした支持」を示すことを安全保障理事会に要求していると述べた。
「国際社会、特に国連と安全保障理事会は、イスラエルのことをすぐに忘れてしまう。 我々が耐えている恐怖はすぐに瑣末な話になってしまうが、今回はそうは行かない。」
エルダン氏はハマスをダーイシュやアルカイダと比較し、ハマスを説得しようとする世界の試みは失敗したと主張した。
「今こそ、我々はパラダイムを打ち砕く。このような野蛮人を説得しようという失策はもう終わりだ。今こそハマスのインフラを破壊し、このような惨事が二度と起こらないように完全に消し去る時だ。そして国際社会はイスラエルを全面的に支援するべきだ」と述べた。
「私の言葉を覚えておいて欲しい。今、イスラエルは攻撃を受けているかもしれないが、これは自由世界に対する戦争だ。文明に対する戦争だ。
イスラエルはテロとの戦いの最前線にある。我々が成功しなければ、全世界がその代償を払うことになるだろう。」