
ワシントン:米政府は18日、ハマスによるイスラエルに対する奇襲攻撃で1000人以上が殺害または誘拐された問題を受け、ハマスの構成員10人と、その金融ネットワークを制裁対象にすると発表した。金融ネットワークはガザ地区、スーダン、トルコ、アルジェリア、カタールに広がっている。
ジョー・バイデン米大統領は17日遅く、イスラエルへの支持を示す目的で中東に到着した。事態が悪化していく中でバイデン大統領は緊張激化を抑えようとしてきたが、その努力は複数の大きな障害にぶつかっている。ガザ地区の病院で起きた爆発で約500人が死亡した事件もその1つだ。
今回、米財務省の外国資産管理局による制裁の対象となったのは、ハマスの資産運用担当者と、イラン政府と緊密なつながりのあるカタールを拠点とする金融仲介業者、ハマスの大物司令官、そしてガザ地区を拠点とする仮想通貨取引所だ。
イエレン米財務長官は「子供を含めたイスラエル市民に対するハマスの残酷で道から外れた大量殺りくを受け、ハマスの金融担当者や仲介業者に対し迅速かつ断固たる行動を取る」と述べた。
「米財務省は長きにわたってテロ組織の資金源を効果的に断ってきた。ハマスに対してもわれわれの持つ手段を行使することに何のためらいもない」とイエレン長官は述べた。
また、ブライアン・ネルソン米財務次官(テロリズムおよび違法資金担当)は17日に開催されたデロイトの反マネーロンダリング会議で、米政府はハマスの資金の流れを追及する計画を再開すると述べた。また、同盟国と民間部門に対して米政府と足並みを揃えるよう求め、そうしない場合は「報いを受ける覚悟をする」よう呼びかけた。
「われわれは国際システムを通じてハマスに資金が流れることを許容できないしするつもりもない」とネルソン次官は述べた。
「われわれはハマスの資金源を断つためにすべての有志の国々や金融機関と手を携えたいと考えている」とネルソン次官は述べた。「だがいかなる機関や法域であっても適切な行動を起こさない場合には、その報いを受ける覚悟をしておくべきだ」
ハマスの軍事部門の指導者ムハンマド・デイフ司令官は謎に包まれた人物だが、7日のイスラエルに対する攻撃の理由について、16年にわたるガザ地区の封鎖、この1年あまりの間にヨルダン川西岸の複数の都市で起きたイスラエルによる攻撃、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への攻撃の増加、そしてユダヤ人入植地の増加などを挙げている。
「もうたくさんだ」と、デイフ司令官(人前に姿を現さないことで知られる)は事前録音されたメッセージで述べた。また今回の攻撃は、彼がアルアクサの洪水と呼ぶものの始まりに過ぎないと述べるとともに、東エルサレムからイスラエル北部に至る地域のパレスチナ人に戦いに加わるよう呼びかけた。
AP