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略奪と焦土の権利を主張する「悪の枢軸」国家

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20 Jul 2020 12:07:56 GMT9
バリア・アラマディン
20 Jul 2020 12:07:56 GMT9

バリア・アラマディン

イラン、ロシア、トルコ、中国を同盟国として特徴付けることは誤解を招く。彼らは頻繁にライバル関係にもなり、一部の戦線(例えば、シリアとリビアのトルコとロシア)では事実上敵対関係にある。結局のところ、これらの国々は、相互にイネーブラーであると説明するのが公平であろう。

これは、司法による紛争解決の国際的な枠組みを妨害することにおいて、彼らが集団的かつ積極的に関心を高めているからである。国連安全保障理事会の常任理事国である中国とロシアは、海外侵略、国内抑圧、武器の拡散の帰結から、お互いとその同盟国を常にかばい合っている。その結果、関連機関が老朽化する中で、安全保障理事会は長年にわたって、効果的で今日的な意味を帯びた機関であり続けている。

これら新「悪の枢軸」は覇権大国になる願望を持っている。つまり、帝国主義国家が弱者から略奪していた過去の時代を懐かしく思う気持ちを共有しつつ、国際法の細かい決め事なしに、或いは多国籍国際機関によって説明責任を求められることなしに、覇権を推し進めたいとする願望である。

カタールのような小国は、覇権国家になることはないが、トルコのような大国の銀行家、ファシリテーター、チアリーダーになることは出来る。カタールのプロパガンダのスポークスマンは、ロシアの『ロシア・トゥデイ』やイランの『プレス・TV』とほとんど区別がつかなくなっている。

共産主義の崩壊後、グローバリストのリベラル/民主主義モデルが優勢であると想定された。サダムのイラクやカダフィのリビアなどの抵抗勢力は容赦なく国際社会の法を遵守する勢力に取って代わられるだろうと。ところが、今日では、勢いを増しているのはポピュリストや独裁的な統治システムであり、守勢に立たされているのが西洋式の民主主義国家という構図になっている。

中国、ロシア、トルコ、イランはずっと前に、法の支配の規範を守るふりをやめている。代わりに、これらの国々は、権威主義的で法を軽んじる傾向を積極的に広めている。 ほんの一例は、トロール・ファーム(偽情報)を流し、サイバー攻撃を仕掛け、あちらこちらで民主的プロセスの妨害をしている。これらの非対称兵器は、電力グリッド、病院、社会保障システム、航空交通管制などの脆弱な重要インフラストラクチャーを持つ法を遵守する国にとって計り知れない脅威となっている。 ロシアのハッカーが新型コロナウィルス感染症のワクチン研究を盗もうとする類を見ない試みが発覚したばかり!

悪の枢軸国家は、非常に多くのところで国際法違反をおかしている。中国は台湾、チベット、香港に対し、激しく攻撃を仕掛けており、南シナ海では領海の拡張を図り、ウイグル文化と人々を根絶しようともしている。 ロシアとイランは、ほぼすべての大陸での反乱、転覆、テロリズムに資金提供している。

中国、ロシア、トルコ、イランはずっと前に、法の支配の規範を守るふりをやめている。代わりに、これらの国々は、権威主義的で法を軽んじる傾向を積極的に広めている。

バリア・アラマディン

ロシアが傭兵と重火器を配備することで、影響力が及ぶ新しいゾーンを切り開く一方で、 中国は、国家が自国の財力では負担できないインフラ・プロジェクトに誘惑し、主権の放棄と引き換えに債務救済を提供することで、一連のアジアとアフリカの国々との依存関係を作り出した(港を海軍基地として差し出させたり、優先貿易協定を結ばせたり、鉱物資源を独占したりしている)。モスクワが中央アフリカ共和国、マダガスカル、スーダン、南アフリカで有利な鉱物の採掘権の譲歩を強要するなど、ロシアと中国の魔の手から逃れられているアフリカの国はほとんどない。

イランとトルコは、あらゆる機会を捉えて、アラブ諸国に侵攻する機会を伺っている。ロシアと中国は2つの手段で同じ目的を遂げようとしている。アラブ諸国の内で脆弱な国家に対し、復興プロジェクトや武器取引を持ち掛け、あるいは西側諸国への依存の代替勢力として自らの売り込みをかけている。 西側諸国が中東を支配するために常に色々な魅力的な話しを持ち込んできていた頃から1世紀が経って、中東地域の最善の利益を気にもかけない次の勢力による征服を許すべきではない。

ロシアとイランは同盟国なのであろうか? 両国の協力で、シリアではアサド政権が権力を維持している。シリアでは、当初西側諸国とアラブ諸国の無力さを露呈させるのに両国の協力は役に立ったが、その役目が終わり、両国が本格的にシリアに関わるようになってくると、両国の関心は根本的に分断し始めている。

アヤトラ・ハメネイは、シリアを無数の敵との無限の紛争の最前線の陣地と見なしている。プーチン大統領は、シリアを地域の影響力と名声を高めるための足がかりとして安定させたいと考えている。テヘランは、イスラエルとの対決に備えてシリア南西部での位置づけをより強固にしたいとも考えている。モスクワは、イスラエルに好意を抱き、イランとアサドの影響を最小限に抑えるために、この地域で元反体制派勢力の温存を図っている。イドリブと中央シリア周辺では、イランとロシアがトルコの侵略に対抗する同盟国の立場を取っている。しかしマクロレベルでは、アンカラも、テヘランも、モスクワも、アラブ世界と西側諸国を除いて、3ヵ国でシリアを切り分ける立場を共有している。

こうして「悪の枢軸」の国々は、このように一種魅力的なダンスに明け暮れている。 あるレベルでは、こうした国々はお互いに依存し、その相互依存から正当性と世界的な影響力を得ている。別のレベルでは、彼らは互いに嫉妬し、忌み嫌い、相互に敵対的な世界観を持ち、絶え間なく互いの影響範囲を制約しようと企てている。

ルールベースのグローバルシステムのこの荒廃の難問は、悪の枢軸国家が最終的には同じ領域を支配しようとしていることにある。豊富な資源に恵まれた、両大陸をまたぎ、中東に至るシルクロードである。現状、我々は、地域の覇権をめぐる壮大な闘争の始まりと位置付けられる、小競り合いを目撃しているだけなのかも知れない。

過去70年間の特徴は、貧困で辺境にある国々、つまり韓国、ベトナム、ユーゴスラビア、アフガニスタン、アフリカにおける低予算の紛争であった。超大国は、互いに戦争行為を避けたが、これは主として、国家が国際法との関連がそれ程無いと思われる事項でも、国際法の権限の範囲内で行動することを余儀なくされたことによる。

これらの「悪の枢軸」の国々は世界的な規範を覆すことに性急であるため、彼らは紛争を防ぐ法的な安全障壁を骨抜きにしている。そうすることで、これまでの記憶にあるどの戦争よりも、終わりの無い激しい戦争に向かい、お互いを破壊しようとしている。

精力的に整備、施行された国際法は、絶え間ない武力衝突の中で、悲惨な状態で暮らすことを避けたいのであれば、悪の枢軸国家にとっても、利益になる。数千年にわたる文明を背景に持つペルシャ、中国、ロシア、トルコの新しい帝国主義者たちが、自らの豊かな歴史にほとんど注意を払わないのは悲劇であり、彼らは征服し、破壊するために国境を越えて乗り出した人々の避けられない運命を知ることになるであろう。

(つづく …)

  • バリア・アラマディンは、中東と英国で数々の賞の受賞歴があるジャーナリスト兼ニュースキャスターである。 彼女は『メディア・サービス・シンジケート』の編集者であり、多くの国家元首とのインタビューも経験してきている。
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