
ウィーン:イラン核合意の存続が危ぶまれる中、残された関係国は水曜日、ウィーンで協議を行う。イランによる度重なる違反に抗議し、イギリス、フランス、ドイツが紛争解決手続きを開始してからは初めての会合となる。
今回の会合が開催された背景には、2015年の画期的な核合意を維持したいという関係国の思惑がある。同合意については、アメリカが離脱し、イランに対してきわめて厳しい制裁を再び課した2018年以降、その存続が危ぶまれていた。
ヨーロッパ諸国はイラン政府に対して、イランの核開発プログラムを制限する合意に再び従うよう説得したいと考えている。イラン政府はアメリカの離脱に抗議し、合意への違反を繰り返していた。
政務局長レベルで行われる水曜日の会合では、核合意で定められた合同委員会が招集され、EU高官のHelga Schmidが議長を務める。
「100パーセントではありませんが、取り返しがつかなくなる前に、緊張の激化を回避するチャンスです」とロシア外相のSergei Lavrovは述べたと、在ウィーン・ロシア大使館がツイッターで明らかにした
1月初旬に行われた最新の発表において、イラン政府は、ウラン濃縮に用いられる遠心分離機の数に対する制限をもはや守るつもりはないと述べていた。
アメリカ大統領のドナルド・トランプの離脱以降、5回目の違反となり、1月14日にドイツ、イギリス、フランスが紛争解決手続きを開始するきっかけとなった。
紛争解決手続きにはいくつかの段階がある。最終段階は国連安全保障理事会への通告で、以後30日が経過した時点で国連による制裁が自動的に「復活」することになる。ただし、安全保障理事会は採択によりこれを阻止することができる。
匿名を条件として取材に応じた外交官は、紛争解決に向けたスケジュールは固まっていないと述べた。また「何らかの結果を得るには、まだほど遠い状況です」とも述べた。
「検査官がイランでの業務を継続できるよう、JCPOA(包括的共同行動計画)を維持したいと、皆が考えています」と外交官がいう。ここでいう検査とは、IAEA(国際原子力機関)によるものを指している。
ウィーンに拠点を置く国連の原子力機関であるIAEAは、核合意の履行を監視し、定期的な報告を行っている。最新の報告は、数日後に公表される予定である。
西洋諸国の外交官は、見返りとして大幅な譲歩がなければ、核合意を完全に遵守すべきとの声にイランが耳を傾けることはないと考えている。そうした譲歩には、たとえば国連による制裁の停止や、ヨーロッパ諸国による制裁の経済的影響を和らげる策の実施などがありうる。
一方、紛争解決手続きに訴えることで、これ以上合意から違反しないようイランを牽制したいとも考えている。これにより、アメリカ政府とイラン政府の間の関係を修復することを目指し、非正規ルートでの外交を行う余地が生まれるという。
また外交官は、今回の協議のひとつの考えられうる成果として、イランが「少なくとも、貯蓄するウランを凍結すること」もありうるとした。
今月ミュンヘンで開かれた大規模な国際安全保障会議において、イラン外相Javad Zarifは、ヨーロッパ諸国が「意味のある」経済的な利益を差し出すのであれば、イラン政府は再び合意に向けて歩み寄りをする用意があるとした。
ヨーロッパ諸国は、イランとの間の正統で人道的な貿易を可能とするために、Instexと呼ばれる特殊な貿易取引支援機関を設立している。しかし同意機関はまだ一件も取引を完了しておらず、イラン政府は不十分であるとしている。
アメリカによるイランへの新制裁は、国際的な金融システムからイランをほとんど完全に締め出すもので、石油バイヤーを追い払い、同国を深刻な不況に陥れた。
AFP