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気候変動がなければシリア、イラク、イランの深刻な干ばつはなかった:研究結果

イラクのディカル州にある湿地帯で、乾燥した地面の上を歩く漁師(AP通信)
イラクのディカル州にある湿地帯で、乾燥した地面の上を歩く漁師(AP通信)
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08 Nov 2023 11:11:32 GMT9
08 Nov 2023 11:11:32 GMT9
  • 研究によると、気候変動によってシリアとイラクでは干ばつの可能性が25倍、イランでは16倍高まっている

シリア、イラク、イランの何百万人もの人々を水不足に陥れた3年間の干ばつは、人為的な気候変動がなければ起こらなかったことが、新たな研究で明らかになった。

「ワールド・ウェザー・アトリビューション」の国際気候科学者チームによる8日の研究速報によると、2020年7月に始まった西アジアの干ばつは、主に通常よりも暑い気温が、降ったわずかな雨を蒸発させていることに起因する。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの気候科学者で主執筆者のフリーデリケ・オットー氏は、19世紀半ばから摂氏1.2度の気温上昇がなければ「干ばつにはならなかっただろう」と述べた。

これは気候変動が自然な乾燥状態を不自然に激化させたため、人々は渇き、飢え、避難を余儀なくされ、人道的危機に陥ったケースであると研究は締めくくっている。この研究はまだ査読されていないが、科学的に有効な手法に従って地球温暖化の痕跡を探している。

同チームは気温、降雨量、湿度レベルを調べ、過去3年間に起こったことと、人為的気候変動がない世界の状況を複数のコンピューターシミュレーションで比較した。

「人間が引き起こした起球規模の気候変動によって、すでに西アジアに住む何千万人もの人々の生活はかなり厳しくなっています」と、研究の共著者でありイランのセムナン大学で気候学教授を務めるモハメド・ラヒミ氏は述べた。「シリアの温暖化が進むにつれて、イラクとイランは今より住みにくくなるでしょう」

オットー氏によると、コンピューターシミュレーションでは、降雨量の減少には気候変動の顕著な痕跡は見つからなかった。降雨量は少なかったが、それほど珍しいことではなかった。しかし、湖、川、湿地、土壌の水の蒸発量は、気候変動の影響で気温が上昇しなかった場合よりも「はるかに多かった」と同氏は語った。

研究者らは、ほぼ正常な水の状態が極端な干ばつになることに加え、気候変動により干ばつの可能性がシリアとイラクで25倍、イランで16倍高まると計算した。

米国ネブラスカ州国立干ばつ緩和センターのケリー・スミス次長は研究に参加していないが、今回の研究は理にかなっていると述べた。

研究の共著者であるレバノンの赤十字赤新月気候センターのラナ・エル・ハッジ氏は、中東地域では干ばつは珍しくなく、シリア内戦などの紛争によりインフラが劣化して水管理が弱まっているため、この地域は干ばつに対してさらに脆弱になっていると述べた。

「これはすでに、一部の人々が適応できる限界に達しています」とオットー氏は述べた。「化石燃料を燃やし続けたり、新しい油田やガス田を探査するための新しいライセンスを発行したりする限り、こうした状況は悪化し、生計を破壊し、食料価格の高止まりは続くでしょう。これは世界の一部だけが直面する問題ではなく、すべての人の問題なのです」

AP

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