
ワドメダニ、スーダン:ダルフールでのスーダン軍と準軍事組織との戦闘激化に伴い国連が警戒を発する中、スーダンの首都の路上では9日、死体が散乱しているとの目撃情報が寄せられた。
首都ハルツームからナイル川を隔てた対岸の都市オムドゥルマンの目撃者は、AFPの電話取材に対し、「8日の戦闘後、軍服を着た人々の遺体が市街地の路上に散乱している」と語った。
その女性の証言は、他の目撃者たちによっても裏付けられており、そのうちの1人によると、オムドゥルマン北部で唯一稼働していた医療施設であるエルナウ病院に砲弾が命中し、勤務していた女性が死亡したとのことである。
4月以来、スーダンの事実上の国家元首であるアブドゥルファッターフ・ブルハン陸軍大将に忠誠を誓う勢力と、彼の元副官であるモハメド・ハムダン・ダガロ氏が指揮する準軍事組織の即応支援部隊(RSF)とが戦争状態にあり、激しい戦闘は、ハルツームとその周辺地域や、これまでに最も多くの死傷者を出した衝突が度々起きているダルフール西部の広大な地域でも続いている。
RSFは、ダルフールの主要都市1つを除く全域を制圧したと主張しており、通信手段が遮断された中でのRSFの進撃は、民族的な動機に駆り立てられた大量殺戮という新たな恐怖を引き起こしている。
国連のトビー・ハーワード人道調整官代理(ダルフール担当)は、「北ダルフールのエル・ファシルでは、数十万人の市民や避難民たちが、急速に悪化する治安状況や食糧や水の不足、不十分な設備により、大きな危険にさらされている。RSFとスーダン軍が街のその都市の支配権を巡って戦えば、市民に壊滅的な影響を与えるだろう」と、X(前ツイッター)に投稿している。
また、ハルツームのアメリカ大使館は、「西ダルフールのアーダマタで起きたマサリット族の指導者とメンバーを標的とした民族的殺戮など、RSFと関連武装組織による深刻な人権侵害の目撃情報が寄せられていることを深く憂慮している」と、西ダルフール最大の非アラブ人少数民族の1つであるマサリット族に言及しつつ述べた。
スーダンの与党主権評議会は、マサリット族の指導者モハマド・アーバブ氏の死亡を報告し、同氏は「RSFの反乱民兵がアーダマタの民家を襲撃した後、彼らによって暗殺され、彼の息子と8人の孫達もこの凶悪犯罪より殺害された」とブルハン議長が述べた。
4月15日にブルハン氏とダガロ氏にそれぞれ忠誠を誓う勢力の間で戦闘が勃発して以来、「軍人紛争データ分析プロジェクトプロジェクト」(ACLED)の推計によると、控えめに見積もってもスーダンでは1万人以上が殺害されたとのことである。
また国連の統計では約600万人が家を追われ、多くの人々が国境を越えて避難していることから、国連は9日、南スーダンに逃れる人々の数に「警鐘を鳴らしている」と発表した。
国連のステファン・デュジャリック報道官は、9月~10月までの間に逃れてきた人々の数は50%増加し、戦争が始まって以来、36万6,000人以上が南スーダンへ逃れているとし、加えて、紛争の南への拡大はさらなる避難民の発生を引き起こし、「すでに手一杯となっている」人道的対応に一層負担がかかる可能性があると述べた。
AFP