• 水を奪うことは、何千人ものパレスチナ人の集団強制退避と相まって、「伝染病発生の完璧なシナリオであり、罪のない人々にさらに追い打ちをかけるだけである」
• 国連特別報告者のペドロ・アロッホ・アグド氏は、生命の維持に必要な条件を人々から意図的に奪うことは、「絶滅行為」であり「戦争犯罪」であると述べた。

アラブニュース

ニューヨーク市： 国連特別報告者のペドロ・アロッホ・アグド氏は17日、イスラエル当局に対して水を「戦争の武器」として利用するのを止めるよう求め、「手遅れになる前に」イスラエルはガザ地区へ清潔な水と燃料の供給を許可する必要があると警告した。

安全な飲料水と衛生設備における人権についての国連特別報告者であるペドロ・アロッホ・アグド氏は、国際法上、民間人の生命維持に必要な条件を意図的に奪うことは絶滅行為であり、人道に対する罪に分類されるとし、「イスラエルが公然と国際法に違反し、ガザ地区での安全な飲料水の供給を阻止したまま時間が経過するにつれ、ガザ地区の住民は喉の渇きや安全な飲料水の欠如による病気で死亡する危険にさらされている」と、述べた。

国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）は、ガザ地区全域での燃料の枯渇と、その結果としての電力不足が、給水、下水管理システム、衛生サービス、通信ネットワーク、医療施設などの完全崩壊という壊滅的な影響を及ぼしていると報告している。

アロッホ・アグド氏は、「安全な水のために必要な物資がガザ地区に入るのを意識的に阻止することは、国際人道法と人権法に違反することを、イスラエルに思い出してもらいたい。公衆衛生への影響は想像を絶するものとなり、これまでのガザ地区への砲撃による膨大な死者数を上回る民間人の死者をもたらす可能性がある」と述べた。さらに同氏は、水と衛生環境の緊急事態の結果、苦しんでいるのは特に5歳以下の子どもと女性たちであると警告した上で「これらの表に出にくい戦争の犠牲者を防ぐことは可能であるし、イスラエルはそれを防がなければならない。イスラエルは水を戦争の武器として使用することを止める必要がある」と述べた。

UNRWAによると、ガザ地区の約70％の人々が生きるために汚染された水や海水を飲まなければならないという。ガザ地区南部の主な公共下水ポンプ場2ヶ所をはじめとするその他数ヶ所の施設、60ヶ所の井戸、ラファとガザ中心部の主な海水淡水化プラント2ヶ所、ラファの廃水処理プラントなど、包囲されたガザ地区全体で多くの水関連施設が稼働を停止しており、「海水や不衛生な水源からの汚染された水を摂取することで、人々はすでに脱水症状や水を媒介とする感染症に苦しんでいる。ここ数日で何千人もの人々が大規模な強制退避を余儀なくされたことと相まって、これは伝染病が発生する完璧なシナリオであり、罪のない人々にさらに追い打ちをかけるだけである 」と、同機関は述べている。

UNRWAは、燃料不足によって人道支援活動が今週中に崩壊し始めると警告を発しており、海水の淡水化施設、発電、医療機器、ラファ国境検問所に到着した緊急援助物資をガザの人々に届けるためのトラックなど、様々な援助活動の原動力として燃料が必要である。

アロッホ・アグド氏は、「喉の渇きや病気による子どもたちの死は、爆弾による死者よりも表に出にくく沈黙に包まれているが、それらと同じくらい、あるいはそれ以上に致命的である。ガザ地区のパレスチナ人の運命はイスラエルの手中にある」と述べ、イスラエルが国際法上の義務を果たすよう国際社会に求めた。

国連特別報告者は、国連人権理事会が任命する特別職の一つである。彼らは国連職員の一員ではなく、ボランティアベースの独立した専門家であり、その職務に対する報酬は支払われない。