ドバイ: 国連世界食糧計画(WFP)は16日、ガザ地区が大規模な食糧危機と飢餓の蔓延に直面していると警告した。
同機関は、ガザ地区のほぼ全人口が食糧を渇望しており、イスラエルとハマスの紛争が10月7日に勃発して以来、最低限必要な物資の10%未満しか現地に搬入されていないと発表した。
WFPのシンディ·マケイン事務局長は、「ガザでは食料と水の供給が事実上できておらず、必要な物資のほんの一部しか国境を通過して届けられていない。冬が間近に迫り、危険で過密状態の避難所や清潔な水が不足する中、市民は飢餓の可能性に直面している。現在の食糧需要を1ヶ所の国境からの搬入だけで満たすことは不可能であり、唯一の希望は、ガザ地区に人道支援物資を届けるための別の経路を解放することだ」と、述べた。
また別の職員も16日、早急に対策を講じなければ、ガザ地区は 「飢餓地獄に陥る 」恐れがあると発言している。
パンを焼くオーブンの燃料不足により、WFPと提携して営業していた最後のパン屋が今週閉店を余儀なくされた。WFPは、封鎖されたガザ地区で提携している130件のパン屋すべてが燃料不足のためパンの生産を停止していることを確認しており、「ガザ地区の人々の主食であるパンが、不足あるいは無い状態にある」と述べている。
深刻な燃料不足は、人道支援活動や食糧などの援助物資の配給にも影響を及ぼしている。14日にエジプトから国境を越えてトラックがガザに到着し、物資を降ろしたものの、それらを配送する車両の燃料が不足していたため、避難所にいる市民に援助物資を配ることができなかった。
また、WFPによると、10月21日にエジプトとの国境にあるラファ検問所が再開されて以降、ガザ地区に入った1,129台のトラックのうち、食料物資を積んでいたのは447台だけであり、到着した食料は、住民が1日に最低限必要とするカロリーの7%を満たす量でしかないとのことである。
WFPは、ガザ地区に到着する援助トラックの数が最近増えていることは歓迎するものの、援助物資の量はまだ不十分だとした上で、「食料供給網の崩壊は、既に必要最低限の物資を奪われ、悲惨な状況に置かれている人々にとって破滅的な転換点である。燃料が手に入らないことで、必要とされているパンを人々に提供したり、食料を輸送したりする我々の活動が著しく損なわれている。ガザの人々に生活必需品を届ける活動は実質的に停止状態であり、人々は飢えてしまうだろう」と、述べた。