
パレスチナ自治区ハーン・ユーニス:ガザ地区南部のハーン・ユーニスにある墓地で22日、身元不明の数十人の遺体が集団墓地に埋葬された。
ブルーシートに包まれた遺体の中には血に染まっているものもあった。それらは担架に乗せられ、掘削機によって徐々に拡大される砂の穴の中に降ろされた。子供ほどの大きさの遺体もあった。
宗教省緊急委員会のバセム・ダバベシュ氏はAFPに対し、「これらの殉教者にはお別れをする人がいなかったので、彼らを埋葬するために集団墓地を掘った。彼らは名もなき殉教者だ」と語った。
埋葬現場にいた同委員会のメンバーらによると、数字だけが付けられたこれらの遺体はガザ地区北部のインドネシア病院とアル・シファ病院から運ばれてきたという。
ハマスが運営する保健省のアシュラフ・アル・クドラ報道官によると、イスラエル軍に空爆されたジャバリア難民キャンプの端にあるインドネシア病院の中にいた人々の一部が20日に退避した。
同病院から南部のラファの方に避難してきた女性、ウンム・モハメド・アル・ランさんはAFPに対し、「どこもかしこも遺体だらけでした。この目で見なければ信じなかったでしょう」と話した。
「負傷者たちは血を流しながら私たちの目の前で死んでいきました」
「病院内はどこも死の臭いが立ち込めていました。負傷者たちは鎮痛剤をくれと泣き叫んでいましたが、医師たちには与える薬がありませんでした」
彼女は携帯電話を取り出し、撮影した動画を見せてくれた。そこには患者の脚の感染した傷口から這い出てくる蛆虫が映っていた。
ガザ市にある地区最大の病院であるアル・シファ病院でも同じような状況だ。
同病院のムハンマド・アブ・サルミヤ院長は11月14日、179人の遺体が同病院敷地内の集団墓地に埋葬されたと述べた。
その中には、保育器に電気を供給できなかったことが原因で死亡した7人の未熟児も含まれていた。
宗教省緊急委員会によると、22日にハーン・ユーニスに到着した遺体は、イスラエルによって「拘束」された後、「第三国と国連」からの要請を受けて解放されたとみられる。
運送会社の代表であるハリル・シアムさんはAFPに対し、遺体は昨夜到着したもので、「腐敗しつつあるかどうかは分かりません」と語った。
AFPは、イスラエル軍と、ガザ地区で活動するいくつかの国連機関に問い合わせたが、22日深夜までに回答はなかった。
何千人もの死者が出ているガザ地区では、埋葬の問題は多くの市民に衝撃を与えている。
戦争が始まって以降、墓地は満杯であるか戦闘のために立ち入ることができないため、戦死者は急遽、私有地や、さらにはサッカー場にまで埋葬されている。
戦争開始から1週間後、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、遺体袋が不足していると訴えた
「ガザから報告される話は全て、生存、絶望、喪失についてだ」
この戦争は、10月7日にハマスがイスラエル史上最悪の攻撃を行ったことで始まった。イスラエル政府によると、ハマスの攻撃による死者は約1200人に上り、その大半は民間人である。
ハマスはまた、240人を人質として拘束した。
イスラエルはガザ地区で大規模な空爆作戦を開始し、続いて地上攻撃を始めた。ハマス政府によると、イスラエルの攻撃による死者は1万4100人に達しており、そのうち数千人は子供である。
瓦礫の下には数千人の遺体が埋まっているとみられている。
AFP