• マスク氏の訪問は、イスラエルがガザで行っているパレスチナのハマス武装勢力との戦闘を4日間休戦し、ハマスに拘束されているとイスラエルが主張している240人の人質のうち40人が同国に帰還した時期と重なる。

ハイテク起業家イーロン・マスク氏は、自身のソーシャルメディアプラットフォーム「X」で反ユダヤ主義的な憎悪を増幅していると権利保護団体から非難されている。彼は27日、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領と、ハマスによってガザに拘束されている人質の家族と面会する予定だ。

ヘルツォグ大統領の事務所は26日夜にこの会談を発表し、「大統領は会談の中で、オンライン上で広がりつつある反ユダヤ主義と闘うために行動する必要性を強調するだろう」と述べた。

テスラとスペースXの経営者でもある億万長者のマスク氏に、テスラとX（旧ツイッター）の広報担当者を通じてコメントを求めたが、応じなかった。

マスク氏の訪問は、イスラエルがガザで行っているパレスチナのハマス武装勢力との戦闘を4日間休戦し、ハマスに拘束されているとイスラエルが主張している240人の人質のうち40人が同国に帰還した時期と重なる。

イスラエルの「チャンネル12」は、マスク氏は27日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相にも会うと伝えている。同首相の事務所からはすぐにコメントは得られなかった。

ネタニヤフ首相は9月18日、カリフォルニア州でマスク氏と会談し、Xの反ユダヤ主義的なコンテンツをめぐる数週間の論争に関して、表現の自由の保護とヘイトスピーチとの戦いのバランスを取るよう彼に促した。

マスク氏はこれに対し、反ユダヤ主義に反対すると同時に、「憎しみと対立を助長する」あらゆるものに反対すると述べ、Xがヘイトスピーチを助長することはないという以前の発言を繰り返した。

戦争勃発前に行われたこの訪問中、約200人のデモ隊がネタニヤフ首相の右派政権がイスラエルの裁判所の権限を抑制しようとしていることに抗議し、会議が行われたテスラのカリフォルニア工場の前に集まった。

その後の11月15日、マスク氏は「ユダヤ人が白人に対する憎悪を煽っている」と虚偽の主張をしたXへの投稿に同意し、「大交代（グレート・リプレイスメント）」陰謀論に言及したこのユーザーは「本当の真実」を語っていると述べた。

ホワイトハウスはこれを、「反ユダヤ主義的で人種差別的な憎悪を助長する憎むべき行為」であり、「アメリカ人としての基本的価値観に反する」と非難した。

ウォルト・ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、NBCユニバーサルの親会社であるコムキャストを含む米国の大手企業は、彼のソーシャルメディア・サイトでの広告掲載を一時停止した。

「大交代」陰謀論は、ユダヤ人と左翼の工作により、非白人の移民が白人集団と民族的・文化的に取って代わり、それが「白人大虐殺」につながるというものである。

反ユダヤ主義やイスラム恐怖症は、イスラエルとハマスの間で7週間前に始まった戦争中も含め、米国内外で高まっている。

反ユダヤ主義と闘う非営利団体である「名誉毀損防止同盟（ADL）」によると、戦争勃発後、米国では反ユダヤ主義に関連する事件が前年同期比で400％近く増加したという。

マスク氏は、Xは人々が多様な視点を投稿するためのプラットフォームであるべきだと述べているが、同社はポリシーに違反する可能性のある特定の投稿の配信を制限している。同社はこのアプローチを 「言論の自由、拡散の制限（freedom of speech, not reach）」と呼んでいる。

マスク氏は人工知能スタートアップ「xAI」での開発を進めている。イスラエルは急成長するコンピューティングとロボット産業によって、この分野の世界的リーダーとみなされている。

イスラエルの経済規模はほぼ5000億ドルで、今年の成長率は3％を超える見込みだったが、戦争が続く限り2024年には成長が鈍化し、約2％にとどまると予想されている。

戦争が始まった直後のシェケルは6％下落したが、現在は対ドルで8％上昇し、戦前の水準にある。主に地元投資家によって支えられ、株価も先月の急落から回復している。

ロイター