
ワシントン/リヤド:商業タンカーがアデン湾で武装集団に拿捕されたが、米海軍の軍艦が救難信号に対応して現在は無事だと、米当局者が26日に発表した。
リン酸の貨物を積んでいたこのタンカーは、船会社によってセントラルパークであることが確認された。米当局者は襲撃者の詳細については語らなかった。
米当局者の1人が匿名を条件に話し、米軍艦のUSSメイソンが救難信号に応答し、タンカーは解放されたことを明かした。
10月7日にイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスとの間で激しい戦闘が始まって以来、中東の海域ではこのような襲撃事件が相次いでいる。
先週も紅海南部でイランの支援を受けるイエメンのフーシ派が、イスラエルに関係する貨物船を拿捕する事件が起きたばかりだ。このフーシ派は、イスラエルに弾道ミサイルの発射や無人機攻撃なども行っており、イスラエルの船舶に対する襲撃を今後も続けると宣言した。
セントラルパークは小型のケミカルタンカー(19,998トン)で、ロンドンに本社を置き、イスラエルのオフェル一族が所有する国際船舶管理会社ゾディアック・マリタイムが管理している。LSEGのデータによれば、2015年に建造のリベリア船籍で、クラムベズ・シッピングが所有している。
ゾディアック・マリタイムは声明を発表し、リン酸を満載するセントラルパークがソマリア沖約54海里の国際水域を航行中、海賊と見られる集団に襲撃されたと説明した。
リン酸は主に肥料として利用されている。
「弊社としては、乗員22人の安全を最優先に考えています。この船はトルコ人が船長を務め、その他にロシア人、ベトナム人、ブルガリア人、インド人、グルジア人、フィリピン人などがクルーとして乗船しています」と同社は声明で語った。
フーシ派からのコメントは出ていない。
英国海運貿易オペレーション(UKMTO)は26日、アデン湾の南西部で攻撃に遭う恐れがあるため、警戒するよう他の船舶に呼びかけた。
米国は過去数年間、この地域で犯行声明を出さずに行われている船舶への襲撃事件について、イランがその首謀者だとして非難の矛先を向けている。だが、イラン政府は関与を否定している。
米国防当局者は25日、イスラエルが運営する会社で管理しているコンテナ船が、インド洋でイランのものと思われる無人機と衝突したことを報告。船は軽い損傷を負ったが、負傷者はなかったと話した。
10月7日、ハマスの戦闘員がイスラエル国内になだれ込み、1,200人を殺害した。その日以降、イスラエルはガザ地区に爆撃を浴びせ、約14,000人を殺害。パレスチナ保健当局によれば、亡くなったパレスチナ人の約40%は子供だという。
26日早朝、ガザへの支援物資搬入をめぐる意見対立で当初の予定より遅れていたが、ハマスが拘束していた人質の2回目の解放が行われ、13人のイスラエル人と4人のタイ人がイスラエルに到着した。
ロイター