Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • イスラエル攻撃前にガザ地区の人々がハマスを警戒していたことを詳細に示す貴重な調査

イスラエル攻撃前にガザ地区の人々がハマスを警戒していたことを詳細に示す貴重な調査

ハマス・メディア・オフィスが公開した配布ビデオの画像には、2023年11月27日、ガザ地区で新たに解放されたイスラエル人の人質(ピンク色)に赤十字の車両までハマス戦闘員が付き添う様子が写っている。(AFP)。
ハマス・メディア・オフィスが公開した配布ビデオの画像には、2023年11月27日、ガザ地区で新たに解放されたイスラエル人の人質(ピンク色)に赤十字の車両までハマス戦闘員が付き添う様子が写っている。(AFP)。
Short Url:
28 Nov 2023 04:11:57 GMT9
28 Nov 2023 04:11:57 GMT9
  • ジャマル氏の調査で、ハマスに対する大多数の否定的な見方が明らかになったにもかかわらず、イスラエルに対するハマスの攻撃後、その認識が変わった可能性があるとこの報告書は警告する。

プリンストン(米国):あるパレスチナ系米国人の研究者が分析した貴重な世論調査データによると、10月7日のイスラエルに対するハマスの残忍な攻撃以前は、ガザ地区の多くの住民がハマスに反感を抱いており、ハマスの支配を第二の占領と表現する人もいた。

ハマスの攻撃に起因する抗議活動や反抗議活動が行われるなか、この調査結果には衝撃を受ける。ハマスとガザ地区の一般市民との関係はしばしば激しい議論の対象となっている。

プリンストン大学公共政策・国際関係大学院のアマニー・ジャマル学部長は、「調査の結果、ガザ地区に住むパレスチナ人の67%が、イスラエルへの攻撃直前の時期にはハマスをほとんど、あるいは全く信頼していなかったことがわかりました」と述べた。

「ガザ地区全土がハマスを支持しており、ゆえにガザ地区全体がハマスの残虐な行為に対して責任を負うべきであるという(誤った)主張があるなかで、この調査結果は決して見過ごすことはできません。」

ジャマル氏は、イスラエルへの攻撃前夜に実地調査が終了したガザ地区を含め、この地域でサーベイと世論調査を実施するアラブ・バロメーターの活動を推進してきた一人だ。

同氏は、2006年のパレスチナ自治区の選挙で勝利し、米国政府とEUから「テロ」組織の指定を受けているハマスは、多くの回答者から「腐敗」して「権威主義的」だと見なされていると語った。

「回答者の75%が、過去30日間に家族を養う余裕がなかったと答えました。つまり、繰り返しになりますが、ガザ地区は貧しい社会であり、基本的にハマス主導の政府にはある程度の腐敗があることが明らかな社会なのです」とジャマル氏は話した。

「誰のせいかと人々に尋ねました。私たちは、封鎖を行っているイスラエルに一番の責任があるということになるだろうと思っていました。しかし、ほとんどの人はイスラエルによる封鎖よりも、ハマスの腐敗を挙げました。」

カリフォルニア州で生まれ、家族の故郷ラマッラーで育った52歳のジャマル氏は、「パレスチナ自治政府やハマス主導の政府は時を経てより独裁的、そして権威主義的になっている」という意見もあるという。

「ヨルダン川西岸やガザ地区に住む平均的なパレスチナ人にとって、『いま(イスラエル)占領下にあるのと同時に、権威主義的なパレスチナ政府もある』という状況です。 よく言われるのは、かつては1つの勢力に占領されていたが、今は2つの勢力に占領されているということです。」

最新のアラブ・バロメーターは、9月末から10月6日にかけてガザ地区で399人を対象に、ヨルダン川西岸で790人を対象に実施された。その結果はフォーリン・アフェアーズ誌に掲載された。

「攻撃前夜の時点で、約60%は自分たちの意見を自由かつ公然と表現することができないと回答し、約72%はハマス主導の政府に対して平和的に抗議することはできないと回答しました。政府からの報復や懲罰の恐れがあるということでした」とジャマル氏は述べた。

ヨルダン川西岸のパレスチナ地域を管轄するマフムード・アッバース大統領率いるパレスチナ自治政府は、ジャマル氏の調査では支持が低迷し、好意的な回答はわずか9%だった。

ジャマル氏の調査で、ハマスに対する大多数の否定的な見方が明らかになったにもかかわらず、イスラエルに対するハマスの攻撃後、その認識が変わった可能性があるとこの報告書は警告する。

「10月7日の攻撃後、イスラエルはガザ地区への水、食料、燃料、電力の供給を遮断し、ガザ地区を深刻な人道危機に陥れました…パレスチナ人が経験した苦しみが彼らの態度を硬化させた可能性が高いです」とジャマル氏はいう。

イスラエルへの攻撃前、回答者の半数以上は二国家解決、つまりイスラエルとパレスチナ国家を併存させる案を支持していた。

残りはパレスチナ・イスラエル連合あるいは一国家体制を選んだ。しかし、10月7日の攻撃とその後の大規模なイスラエル軍の応戦以前には、5人に1人は武装抵抗を支持していた。

「(ガザ地区の人々は)1967年の国境に基づくイスラエルとの平和的和解に前向きでした」とジャマル氏は語った。

AFP

特に人気
オススメ

return to top