アンカラ:イランのイブラヒム・ライシ大統領が事前に発表されていた火曜日のアンカラ訪問を行わないと、トルコ大統領府は理由を明らかにせずに発表した。
この訪問は、トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領によって今月初めに発表されていた。その際、両首脳がイスラエルとハマスの戦争への共同対応策を練ることに注力すると、エルドアン大統領は話していた。
エルドアン大統領は、10月7日のハマス武装勢力の攻撃に対抗したイスラエルのガザ地区攻撃に関して、イスラム世界で最も声高に批判する指導者の一人に浮上している。
同大統領はイスラエルに「テロ国家」の烙印を押し、イランが支援するハマスを「解放グループ」と呼んでいる。
また、ハーグの国際刑事裁判所でイスラエルの政治家や軍司令官を裁くことも提案している。
しかし、イスラム教やアラブの指導者との過去の会合では、今月リヤドで行われたものも含め、当面どのような経済的・政治的措置をとるべきかについて、共通点を見いだせないでいる。
アナリストらは、ライシ大統領がトルコに対し、巧言をやめ、発展しつつあるイスラエルとの貿易・エネルギー関係を断つよう圧力をかけるだろうとみている。
イスタンブールにあるイラン研究センターのハッキ・ウイグル所長は、「トルコがイスラエルとの直接・間接貿易をやめることをイランは期待しています」と語った。
「一方、トルコは政治問題と通商問題の分離を望む姿勢をとっています。」
ハマス主導のガザ政府によると、イスラエルがハマスによる前例のない国境を越えた攻撃に対して報復を開始して以降、1万5,000人近く(大半が民間人で、数千人の子供を含む)が死亡した。一方、イスラエルはこのハマスの攻撃で1,200人(大半が民間人)が死亡したと発表している。
ライシ大統領の訪問は、100人以上のパレスチナ人捕虜の釈放と引き換えに、イスラエル人の人質数十人が解放された、停戦協定の延長に焦点を当てた取り組みを伴う。
イランとトルコは535キロメートルにわたって国境を共有しており、そこには緊密な経済関係と地域紛争についての対立した見解という複雑な歴史がある。
トルコはシリア内戦中、イランとロシアが支援するバッシャール・アサド大統領を倒そうとする反政府勢力を支援した。
ナゴルノ・カラバフにおいて、アルメニア分離主義者に対する2度の戦争で勝利を収めたアゼルバイジャンに向けたトルコ政府の支援も、イランに深い苦悩をもたらした。
イラン政府は、コーカサス地域でのバクーの復活が、イランに大勢いる少数民族アゼルバイジャン人の分離主義の野心を刺激する可能性があると懸念している。
イランはまた、北部国境に沿って通るアゼルバイジャンとトルコの間の貿易ルート案についても懸念しており、これによりアルメニアへのアクセスが複雑になる可能性がある。
「トルコとイランの間の最も大きな紛争はコーカサスとカラバフをめぐるものでした」と、アンカラに拠点を置くイランの専門家アリフ・ケスキン氏はいう。
「ガザ地区の紛争により、この問題は棚上げになっていますが、依然として重要な問題として残っています」とケスキン氏は語った。
トルコ大統領府は、エルドアン大統領が日曜日に電話で「イスラエルの残虐行為に対する共通のスタンス」をとることについて、ライシ大統領と話し合ったと発表した。
アナリストらは、イランがイスラエルと米国に圧力をかけるために、ハマスやレバノンのヒズボラなどの組織をどの程度利用するかを見極めようとしていると考えている。
ユーラシア・グループはある報告書の中で、「イランは現在進行中の中東危機への介入に慎重であり、紛争を激化させるかもれしれないいかなる行動も避ける可能性が高い」と伝えた。
そして、「イランは同盟を結ぶ組織を完全に制御できるわけではないため、意図しない行動が米国の報復をもたらし、紛争が激化するリスクがある」とした。
エルドアン大統領も戦争の拡大について繰り返し懸念を表明している。
エルドアン大統領府はライシ大統領との電話後、「イランとトルコは一時停戦を恒久的なものにし、永続的な平和を実現するために引き続き一致協力して取り組む」と発表した。
AFP – ロイター