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パキスタンのカーン首相、サウジアラビア訪問 相互利益に基づく協力の動き加速へ

 2018年2月18日、イスラマバードのヌール・カーン空軍基地で並んで歩くパキスタンのイムラン・カーン首相とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(ファイル写真:Bandar Al-Jaloud 撮影)
2018年2月18日、イスラマバードのヌール・カーン空軍基地で並んで歩くパキスタンのイムラン・カーン首相とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(ファイル写真:Bandar Al-Jaloud 撮影)
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08 May 2021 12:05:19 GMT9
08 May 2021 12:05:19 GMT9
  • カーン首相のサウジアラビアへの3日間の訪問中、エネルギー、経済問題、在外パキスタン人の待遇等が話し合いの中心になるものと見られている
  • サウジアラビアで働くパキスタン人たちの本国への送金は、経済の安定に向けて奮闘しているパキスタンにとり貴重な海外からの資本となっている

アーミル・サエド

イスラマバード:長きにわたり、パキスタンはサウジアラビアと友好関係にあった。両国の関係は共通の宗教、共有された歴史、また危機に際しての相互支援に深く支えられたものなのである。現在200万人以上のパキスタン人がサウジアラビアで働いており、サウジの繁栄に貢献しながら、数十億ドルをパキスタンにもたらしている。また、両国間の貿易も活発であり続けている。

パキスタンのイムラン・カーン首相は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の招待を受けて7日にサウジアラビアに到着、二国間の協力促進を目的とした3日間の公式訪問を開始した。エネルギー、経済問題、在外パキスタン人の待遇等が話し合いの中心になるものと見られている。

パキスタン外務省のザイド・ハフィーズ・チャウドリ広報担当官氏はアラブニュースに対し、「今回のイムラン・カーン首相のサウジアラビアへの訪問は、これまでの両国の二国間関係、貿易および経済的な結びつきから見ましても、非常に重要なものであると私たちは考えています」と語った。


2019年2月18日にイスラマバードで行われた歓迎式典で馬車に乗るパキスタンのイムラン・カーン首相とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。

「パキスタンとサウジアラビアの両国は、エネルギーとインフラ関連のプロジェクトについての多くの協定を締結することに加えまして、経済、貿易、投資およびパキスタンからの労働力のサウジアラビアにおける雇用機会についても話し合うことになります。」

事実、サウジアラビはパキスタンにとって極めて重要な貿易相手国となっており、両国は二国間の輸出入量の成長とともに、パートナーシップを強化する方法を模索してきていた。

パキスタン商工会議所連盟によると、現在両国間の貿易額は36億ドルで、サウジアラビアからのパキスタンの輸入は32億ドル、パキスタンからサウジアラビアへの輸出は3億1630万ドルとなっている。

「サウジアラビアへの輸出は今年、ハラール肉と家畜の輸出がパキスタン企業に許可されたことにより増加していますが、私たちはそれをさらに伸ばそうと努力しています」と、パキスタン‐サウジアラビア・ビジネス評議会(Pak-Saudi Business Council)のシャヒド・アーメド・レガリ会長はアラブニュースに語った。

パキスタン企業は香辛料や衣服もサウジアラビアに輸出し始めているが、まだまだ成長の余地があるとレガリ会長は言う。 「米、果物、野菜、小麦粉および乳製品のサウジアラビアへの輸出が許可されれば、二国間貿易を年間200億ドルに増大させることができるのです。」

レガリ会長はまた、今回のカーン首相のサウジアラビアへの訪問は、パキスタンのビジネスマンと輸出業者に「新しいビジネスチャンスを開拓する」のに役立つだろうと付け加えた。

訪問に先立ちパキスタンの内閣は4日、2019年2月のムハンマド・ビン・サルマン皇太子のパキスタン訪問中に署名された投資取引への「障害を取り除く」ため、パキスタンとサウジアラビアの間に最高調整評議会(Supreme Coordination Council)を設立することを承認した。 

皇太子の2019年の訪問中に、両国の当局者は、エネルギー、石油化学、鉱物資源、農業、食品加工の分野で200億ドル相当に及ぶ重要な覚書に署名していた。

カーン首相のサウジアラビア訪問には、外相ら閣僚を含むハイレベルの代表団が同行することとなっている。


2018年2月18日、イスラマバードのヌール・カーン空軍基地で並んで歩くパキスタンのイムラン・カーン首相とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(ファイル写真:Bandar Al-Jaloud 撮影)

カーン首相はまた、イスラム協力機構の事務局長であるユーセフ・アル・オサイミーン博士、世界ムスリム世界連盟のムハンマド・ビン・アブドゥル・カリム・アル・イッサ事務局長、そして、メッカとメディナの2つの聖モスクのイマームとも会談する予定である。

カーン首相はまた、港湾都市ジェッダ滞在中には、同地の在留パキスタン人コミュニティの人々と面会する予定である。パキスタン国営銀行によると、海外からパキスタンへの送金の中で、サウジアラビアは国別で最大の送金国であり続けており、同国で働くパキスタン人たちは一昨年度には66億ドル、昨年度の7月から3月には57億ドルを母国に送金している。

これらの送金は、新型コロナウイルスの流行で機能不全に陥ってしまった経済の安定に向けて奮闘しているパキスタンにとって、貴重な海外からの資本となっている。

「今回の首相の訪問は、外貨準備高を維持しなければならないという現実の財政的課題にパキスタンが直面しているという面からも、重要な意味を持つものです」と、パキスタンの対外関係アナリスト、カマル・チーマ氏はアラブニュースに語っている。

「パキスタンはまた、海外在留パキスタン人の存在は同国にとって非常に重要である一方、アラブ首長国連邦(UAE)のパキスタン人向けビザの発行が再開されていないという面でも課題を抱えています。ですから、パキスタンはサウジアラビアとの戦略的パートナーシップ関係を変えることなく保つことを望んでいるのです。」

2018年8月にカーン首相が就任してからわずか数週間後、サウジアラビアは、30億ドルの無利子ローンと、石油輸入のための30億ドル分の延べ払いの便宜を与えることにより、パキスタンに迫っていた支払い危機の回避を支援した。

その見返りとして、「パキスタンは自身の経験による知識をサウジアラビアと共有し、サウジアラビアを環境に優しい国にする手助けをしたいと考えています。また、パキスタンは、サウジアラビアの安全保障の面でも、自らの(軍事的)経験による知識の共有に前向きなのです」とチーマ氏は述べている。

「皇太子がパキスタンを訪問された2019年の段階から、私たちはまた前に進んでいこうとしているのです。」

サウジアラビアはパキスタンが困難を抱えている時にはしばしば手を差し伸べてきており、戦争や自然災害の際には財政的な支援を行ってきた。

「パキスタンは、2005年の地震、2010年と2011年の洪水被害など苦しい時にもたらされた、石油と資金の供給によるサウジアラビアの広範な財政的支援を忘れることは決してありません」とパキスタンのジャベド・ハフィーズ元駐サウジアラビア大使はアラブニュースに語った。 。

カーン首相の訪問に先立ってパキスタンのカマル・ジャベド・バジュワ陸軍長官がサウジアラビアに滞在していることは、両国が「防衛協力の強化」に経済関係と共に関心を持っていることを示している、とハフィーズ氏は言う。

「サウジアラビアはパキスタンの長年の信頼できる友人であり、今回の首相の訪問で、両国の経済協力の新しい展望を開く動きが加速していくものと思われます」とハフィーズ氏は語った。

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