ジュネーブ:国連は5日、イスラエルによる空爆作戦の中、ガザ地区内に民間人が逃げ込めるいわゆる安全地帯を作ることは不可能であると警告。
イスラエルは当初、領土の北部に攻撃を集中させていたが、現在では南部の一部にもパレスチナ市民にほかの地域へ逃げるよう伝えるビラを投下している。
「いわゆる安全地帯は…科学的でなく、合理的でもなく、不可能であり、当局もそのことは承知していると思う」と、子どもたちのための国連機関ユニセフの広報官を務めるジェームズ・エルダー氏は、カイロからのビデオリンクを通じてジュネーブの記者団に語った。
イスラエル軍が包囲された地域の奥深くまで攻勢を拡大し、ガザ地区南部でハマス武装勢力と戦っている中での発言である。
イスラエル当局によれば、イスラエルは10月7日の過激派組織ハマスによる攻撃以降ハマスと戦争状態にあるとし、その攻撃で1,200人(ほぼ民間人)が死亡、約240人が人質に取られた。
史上最悪の攻撃に対する報復として、イスラエルはハマス全滅とガザで拘束されている人質全員の解放を誓った。
ガザのハマス保健省によれば、戦争によって同地区の15,900人近くが死亡し、うち約70%が女性と子どもであるという。
イスラエルがガザに攻め入るにつれ、国際援助団体は、人口密集地の市民が逃げ場を失いつつあると警告している。
エルダー氏は、イスラエルが宣言した安全地帯は「一方的に宣言されたものでは、安全にも人道的にもなりえない」と主張。
人々が逃げ込める安全な場所があるかのような見せかけは「冷淡」であると同氏。
適切な安全地帯であれば、「食料、水、医薬品、避難所が保証される」と強調した。
この1週間ほどをガザで過ごしたエルダー氏は、安全地帯として指定されている地域では、それらは一切保証されていないと強調。
「安全地帯など全く、全くない。誇張ではない。それらは不毛の小さな土地であったり、街角であったり、歩道であったりでしかない」と同氏。
「水も設備も、寒さや雨をしのぐ場所もなければ、(さらに)衛生設備もない」
エルダー氏は、ガザの避難民のほとんどが集まっている過密状態の避難所には、400人に1つ程度のトイレしかないと指摘。
「その人たちを…いわゆる安全な場所に移すとする。何万人もの人々が(ただの1つの)トイレもなく、きれいな水もなく、飲むものもない」と同氏。
「水も衛生設備も避難所もなければ、安全地帯と呼ばれる場所が病気の温床となる危険性がある。
AFP