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レバノンでのハマス副指導者殺害後、「いかなる展開にも」準備万端と述べるイスラエル

ハマスの副指導者サレハ・アルアルリ氏を殺害したイスラエルによるレバノンへの攻撃に抗議するハマスの支持者たち。2024年1月2日。ヨルダン川西岸地区ラマッラー市。(AFP)
ハマスの副指導者サレハ・アルアルリ氏を殺害したイスラエルによるレバノンへの攻撃に抗議するハマスの支持者たち。2024年1月2日。ヨルダン川西岸地区ラマッラー市。(AFP)
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03 Jan 2024 08:01:06 GMT9
03 Jan 2024 08:01:06 GMT9
  • イスラエル軍は、ガザ地区内の部隊が1月2日の戦闘で「数十人のテロリスト」を殺害したと発表した
  • レバノンに対する攻撃により、戦火拡大の不安が高まっている

エルサレム:イスラエル軍は、ベイルートへの攻撃によりハマス副指導者殺害後、「いかなる展開にも万端の準備が整っている」と述べており、ガザ地区での紛争がより広範な地域紛争へと発展する不安が高まっている。

レバノンの治安当局高官は、ハマスによる10月7日の衝撃的な襲撃を受けてハマスの壊滅を確言したイスラエルによる攻撃で、サレハ・アルアルリ氏は自身のボディガードたちと共に殺害されたとAFPに語った。

この情報を別の治安当局者も認めた。ハマスのテレビ放送局もイスラエルがアルアルリ氏をレバノンで殺害したと報じた。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、アルアルリ氏殺害について直接的にはコメントしなかったが、その後、イスラエル軍は「防禦と攻撃のすべての分野で用意が整っている状態です。私たちはいかなる展開に対しても準備万端です」と述べた。

イスラエルは、この戦争中、これまでにもガザ地区でのハマスの指導者や幹部の死亡について発表を行っているが、アルアルリ氏は殺害された中で最も知名度の高い人物である。そして、同氏の死は、開戦以来初のレバノンの首都への攻撃の中での出来事だった。

3ヶ月近くに及ぶイスラエル・ハマス戦争のより広範な地域的紛争への拡大という数多くの人々の懸念が、この攻撃により増々高まっている。

ハマスはアルアルリ氏の死は敗北には繋がらないと述べ、また、レバノンを拠点とする同盟組織のヒズボラはアルアルリ氏の殺害を「レバノンに対する重大な攻撃であり…危険な展開」であるとし、この殺害が罰せられないまま済まされることはないと明言した。

レバノンのナジーブ・ミカティ首相はこの殺害を非難し、この殺害が「レバノンをさらに深く戦争に引きずり込むことを目的としている」と述べた。

亡命生活中だったアルアルリ氏は、数々の攻撃を首謀したとしてイスラエルからの非難を浴びていた。

ハマスの指導者であるイスマイル・ハニヤ氏は、アルアルリ氏の死を受けて、「その指導者たちが国民と国家の尊厳のために殉教する運動が敗北を喫することは決してない」と述べた。

イスラエルの公式発表数に基づくAFPの集計では、ハマスによる10月7日のイスラエルに対する惨酷な襲撃での死亡者数は約1,140人で、そのほとんどが民間人だった。

イスラエルの公式発表数によると、武装勢力ハマスは、また、約250人をハマス支配下のガザ地区に拉致し人質とし、その内129人が現在も拘束されたままであるという。

史上最悪の襲撃を受けた後、イスラエルは容赦のない空爆と地上攻撃を開始した。ガザ地区の保健省によると、このイスラエル側の攻撃により、少なくとも22,185人が死亡しており、その大半は女性と子供であるという。

イスラエル軍は、ガザ地区内の自軍部隊が1月2日の戦闘で「数十人のテロリスト」を殺害し、ガザ地区南部の都市ハーン・ユーニスにあったハマスの武器貯蔵施設への急襲も行ったと発表した。

ガザ地区中心部のヌセイラト難民キャンプへの攻撃の直後、パレスチナ住民たちは瓦礫の中から犠牲者を救出し遺体を回収することに全力を上げた。

「これまでに12人の殉教者(死亡者)が確認されていますが、ほとんが子供たちでした。彼らが何をしたというのでしょうか?死亡者たちの中には、私の生後1ヶ月の息子もいました。私の息子がイスラエルに何をしたというのでしょうか?」と、ガージ・ダルウィッシュさんは語った。「私のもう1人の息子は5歳で、彼も殉教しました」

さらに南のハーン・ユーニスでは、イスラエルがパレスチナ赤新月社の本部に対して2度攻撃を行った。その結果、ハーン・ユーニスで避難場所を求めていた退避中の人々や近隣の病院に避難していた人々から「5人の死者と3人の負傷者」が出たとパレスチナ赤新月社は発表した。

「イスラエルは私たちに安全な南部に行くようにと言っていました。彼らは嘘つきです」と、ファティ・アルアフさんは、パレスチナ赤新月社が攻撃を受けた後、ナセル病院の床に置かれた担架の上の負傷した自身の娘を指差しながら叫んだ。

世界保健機関(WHO)の事務局長は、この攻撃が「非良心的」であるとして非難した。

ハーン・ユーニスに対する空爆は1月3日朝まで夜通し継続し、ハマス運営の保健省は「多数」の死者が出たと発表している。

複数の国連機関がガザ地区における人道危機の深刻化について警告を発している。ガザ地区では240万人が包囲下にあり、そのほとんどが自宅からの退避を余儀なくされ、冬の雨の中、避難所やテントで過密状態に耐えている。

「ハマスのメンバーは、家屋やトンネルに隠れています。他方、私たちは、食べ物も飲み物も見つけられず、寒さで死んでしまいそうになっています」と、数多くのガザ地区の住民たちと同じく南端のラファに退避したウォジュド・カマル・アルシンバリーさんは語った。

WHOは、最小限の援助物資しか搬入されないことによる飢餓や疾病の危険性を警告している。

火曜日、英国は、同国の船舶がキプロスからエジプトに向けて87トンの援助物資を届けたと発表した。これは地中海上の島からの新規の海上回廊を用いた最初の輸送となった。

占領下のヨルダン川西岸地区では、パレスチナの公式通信社である「ワファ」がイスラエルによる複数の作戦について夜を徹して報じたが、AFPTVの映像ではアルアルリ氏の殺害に抗議する多数の人々を確認することができた。

パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相も、また、アルアルリ氏の殺害についてイスラエルを非難し、「その後のリスクと影響」について警告したと首相官邸は発表した。

近隣諸国でハマスを支援する組織をイスラエルが攻撃したことで、紛争拡大への不安が高まっている。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、アルアルリ氏殺害後に、イスラエル戦時内閣閣僚のベニー・ガンツ氏と電話会談を行い、「特にレバノンにおいては状況の激化を招くようないかなる振る舞いも避ける」ことをイスラエル側に強く要請した。

イスラエルが2023年12月に行ったとされるシリア国内への攻撃では、イランのイスラム革命防衛隊の対外作戦部門の上級司令官が死亡している。

他方、イランの支援を受けたイエメンの反政府勢力フーシ派も、ハマスと連帯して、イスラエルや紅海の貨物船に対する攻撃を開始した。米軍は、重要な航路である紅海の保護のために多国籍の軍からなる特別部隊を結成している。

米軍によると、1月2日遅くにフーシ派は、、戦略上重要なバブ・エル・マンデブ海峡近くの紅海を航行中の商船に対してミサイル2発を発射したというが、この海域を航行中の船舶からの被害報告は無い。

フランスの国連代表部は、フランスと米国が常任理事国である安全保障理事会が1月3日の会合においてフーシ派の攻撃について話し合うと述べた。

AFP

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