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ヒズボラ指導者、イスラエルによると見られるベイルート空爆に「報復が必要」

テレビ演説をするレバノンのヒズボラ指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏。レバノン・ バールベック、2024年1月5日。(ロイター)
テレビ演説をするレバノンのヒズボラ指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏。レバノン・ バールベック、2024年1月5日。(ロイター)
ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏のテレビ演説に耳を傾けるレバノンのヒズボラ支持者。レバノン・バールベック、2024年1月5日。(ロイター)
ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏のテレビ演説に耳を傾けるレバノンのヒズボラ支持者。レバノン・バールベック、2024年1月5日。(ロイター)
砲兵部隊がレバノン南部を砲撃するなか、ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏が標的であることを示すワッペンをジャケットの背中につけたイスラエル兵士が戦車の前に立っている。イスラエル北部・上ガリラヤ、2024年1月4日。(AFP)
砲兵部隊がレバノン南部を砲撃するなか、ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスララ氏が標的であることを示すワッペンをジャケットの背中につけたイスラエル兵士が戦車の前に立っている。イスラエル北部・上ガリラヤ、2024年1月4日。(AFP)
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06 Jan 2024 04:01:23 GMT9
06 Jan 2024 04:01:23 GMT9
  • 2006年以来となるイスラエルによるレバノン首都への空爆で、ハマス副政治局長サレハ・アルーリ氏を含む複数名が殺害された
  • ヒズボラは10月のガザ戦争開始以来イスラエル軍と国境を挟んだ攻撃の応酬を繰り返していたが、劇的な対立激化を避けてきた

ベイルート: レバノンの武装組織ヒズボラの指導者は5日、今週発生したイスラエルによるとみられるベイルート付近での空爆によってハマス高官が殺害されたことを受け、ヒズボラが報復しなければレバノン全域がイスラエルによる攻撃の危険に晒される、と述べた。

サイード・ハッサン・ナスララ氏は、ヒズボラ・イスラエル間の戦闘が激化するリスクを冒してでも対応を行う必要性をレバノン国民に説いているようだ。しかし同氏は、ヒズボラがいつ、どのように動くかについては具体的に述べなかった。

ハマス副政治局長サレハ・アルーリ氏を殺害した今回の空爆により、アメリカがここ数ヶ月、ガザの戦争が中東全体の対立に発展しないよう行ってきた努力が水の泡になる恐れがある。

ナスララ氏は、イスラエルがレバノン首都に空爆を行うのは2006年以来だと述べた。

「これほど重大な侵害行為について我々は黙っているわけにはいかない」と同氏は述べる。「なぜならこれは、国民全体が危険に晒される(標的となる)ことを意味するからだ」「レバノンのあらゆる町や村、公人が危険に晒されることになる」

黙っていることの影響は、報復にともなうリスクより「はるかに大きい」と同氏は加えた。

アントニー・ブリンケン米国務長官が同地に到着する中、複数の前線で緊張が増している。イラク国民は、アメリカによるバグダッドでの空爆により軍事組織の司令官が殺害されて以来、憤りをみせている。一方でアメリカは、イエメンのイランの支援を受けるフーシ派反体制派による紅海の商業船舶に対する攻撃の抑止に苦しんでいる。

ガザでは、イスラエルが打倒ハマスを掲げ、ガザ北部に対する軍事攻撃を縮小し南部で攻勢を強めている。南部では、ガザに住むパレスチナ人230万人のほとんどが、依然としてイスラエルによる空爆を受けながら、人道危機のなか狭い地域に押し込められている。

ガザ戦争開始以来、ヒズボラはイスラエル北部にロケットおよびミサイルを発射、それに対しイスラエルが空爆を行うといった、国境をまたいだ攻撃の応酬がほとんど毎日行われている。2日に行われたベイルート空爆以降、レバノン・イスラエル前線は、全面戦争に発展する危険性の潜む重要な岐路に立たされたようだ。

5日には、イスラエルに向けてロケットおよびミサイルが発射されてから、イスラエル軍は航空機、戦車および大砲によってレバノンの複数の地域を攻撃した、とイスラエル軍は発表した。

一方でヒズボラは、イスラエルによる爆撃でレバノンが甚大な被害を受けた2006年の戦争の再現を警戒し、劇的な対立激化を避けてきている。

ナスララ氏は5日、ヒズボラによる報復の詳細は「戦場で決定する」とし、具体的には述べなかった。

イスラエル・レバノン間の戦争を拡大させる恐れがあるのは、今回のベイルートの空爆だけではない。

イスラエル政府は、二国間国境付近のレバノン領からヒズボラ戦闘員を撤退させなければ、ヒズボラに対する軍事行動を拡大する、と警告している。

撤退要求は2006年の国連停戦協定でも行われたにも関わらず実施されなかったが、空爆を停止し、避難中の数万人ものイスラエル人を国境付近の家に帰れるようにするには、撤退が必要だ、とイスラエルは主張している。

ナスララ氏は、イスラエルが過去の紛争でレバノン国民を強制的に避難させたことを受け、今回ヒズボラが同様のことをイスラエル人に行うことでイスラエル政府に政治的圧力をかけているのだ、と述べており、国境付近のイスラエル人が避難している現状に満足している。

ヒズボラによる国境をまたいだ攻撃は、ガザのイスラエル軍の戦力を拡散させることを目的とする、とナスララ氏は述べている。イスラエル軍を止める唯一の方法は「ガザでの攻撃を食い止めることだ」という。

イスラエルは、10月7日にイスラエル南部で発生した攻撃で民間人を中心に1200人が殺害、他250人が誘拐されたことを受け、ハマスの軍事力を破壊し、ガザでの権力の座から引きずり下ろすことを目的とする、と述べている。

 イスラエル軍首席報道官を務めるダニエル・ハガリ海軍少将は5日、軍や諜報機関の幹部、政治的指導者らが不意を突かれたとして大きな批判を受ける元となった10月のハマスによる攻撃に関する失敗について、軍は調査を計画している、と述べた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、政府は第一に戦争に集中し、問いに答えるのは後にすべきだと主張した。

ガザ保健当局によると、イスラエルによるガザへの熾烈な攻撃によって22600人以上が死亡し、その3分の2以上は女性および子どもであるという。保健当局の発表する死亡者では、民間人と戦闘員を区別していない。

最も都市化の進んでいたガザ北部では、その大部分が空爆および戦闘で破壊され廃墟と化している。北部の住民のほとんどは南部へ避難し、同様に家を追われた住民らと合流して生活している。国連人道問題調整事務所(OCHAの略称で知られる)によると、飢餓に陥る危険性は日々高まっているという。

地上攻勢は南部、特に主戦場となっているハーン・ユーニスで、更なる破壊をもたらす恐れがある。

アル・ジャジーラTVで放映された映像では、ハーン・ユーニス市街地の惨状が映し出された。町中央のスネーヤ広場にある建物は、その全てが被害を受けている。倒壊している建物もあれば、部分的に破壊されたり焦げ付いているものもある。

今週ほぼ連日にわたって、ハーン・ユーニスのアル・アマル病院およびパレスチナの赤新月社の運営する病院周辺が空爆を受け、何十人もの人々が殺されている、とOCHAは発表した。

マーティン・グリフィス人道問題担当国連事務次長は5日に発表した声明で、人道支援団体らは、援助要員が殺され、通信遮断が続き、道路が破壊され、重要物資の運搬中のトラック隊が銃撃を受ける中、200万人を超えるガザ市民を援助することは「不可能なミッションだ」と述べた。ガザの部分的に機能している数少ない病院は患者で溢れかえっており、感染症が蔓延している、と同氏は述べた。

イスラエルによるガザの空爆は続いた。ガザ中部にあるマガジ難民キャンプのアパートが空爆により倒壊し、少なくとも13人が死亡した、と保健当局は発表した。

ガザ最南端のラファでは、深夜に空爆が住宅を襲い、子ども3人を含む6人が死亡、親戚や友人らが彼らの遺体のもとで涙を流していた。

この空爆で姉妹を失ったソハド・アル・デルバシ氏は、ハマス政権下のガザで公務員として働いていた家主は標的となることを恐れ他の数千人と同様に避難していた、と述べた。昨晩彼が家に帰った時、空爆を受けたという。下の階に住んでいた同氏の姉妹は、家の下敷きになった。

「みんな何の関係もない無実の民間人でした。ハマスの下で働いて標的となった人だって、公務員でした。彼が何か悪いことをしたでしょうか」とアル・デルバシ氏は述べた。

AP

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