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フーシ派の攻撃にもかかわらず、紅海での航行を続ける石油タンカー

米国防総省から入手したこの画像では、2023年12月25日に行われた紅海での海上補給作戦で、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ラブーンが米海軍給油艦カナワ(背景)に接近している。(AFP)
米国防総省から入手したこの画像では、2023年12月25日に行われた紅海での海上補給作戦で、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ラブーンが米海軍給油艦カナワ(背景)に接近している。(AFP)
米国防総省から入手したこの画像では、2023年12月25日に行われた紅海での海上補給作戦で、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ラブーンが米海軍給油艦カナワ(背景)に接近している。(AFP)
米国防総省から入手したこの画像では、2023年12月25日に行われた紅海での海上補給作戦で、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ラブーンが米海軍給油艦カナワ(背景)に接近している。(AFP)
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09 Jan 2024 05:01:09 GMT9
09 Jan 2024 05:01:09 GMT9

ヒューストン:イランと同盟関係にあるフーシ派武装勢力による攻撃を受け、多くのコンテナ船が航路を変更した一方で、12月の石油・燃料タンカーによる紅海の通行量はあまり変わらなかったことが、ロイター通信による船舶追跡データの分析でわかった。

フーシ派の攻撃で保険料とともに輸送コストが大幅に上昇したが、石油の輸送への影響は懸念されていたより小さく、荷主は引き続きこの重要な東西航路を利用し続けている。フーシ派は、イスラエル向けの船舶を標的にしていると話しており、主に石油ではない貨物を積んだ船舶を攻撃している。

紅海は今でも、アフリカ回りで貨物を輸送するよりもはるかに安価であるため、コストの上昇はこれまでのところ、ほとんどの荷主に大きな違いをもたらしていない。しかし、BPやエクイノールなどの一部の石油会社が貨物を長距離ルートに迂回させていることから、状況は注視する必要がある。また、輸送コストの上昇により、一部の欧州バイヤーへの米国産原油の輸出が増加する可能性が高いと、専門家らは話している。

ロイズ・リストで海運アナリストを務めるミシェル・ヴィーゼ・ボックマン氏は、「誰もが考えていたようなタンカー航行の中断は実際には見られませんでした」と語った。

12月には、1日平均76隻のタンカーが石油と燃料を積んで紅海南部とアデン湾にいた。この地域は攻撃が行われたイエメンに近い。船舶追跡サービス「マリトレース」のデータによると、12月は11月の平均よりわずか2隻、2023年1~11月の平均よりわずか3隻少ないだけであった。

マリトレースのライバルで追跡サービスを提供する「ケプラー」は、12月に紅海とアデン湾全域で1日平均236隻の船舶を追跡したが、これは11月の1日平均230隻をわずかに上回った。

ボックマン氏は、紅海経由ではなく、アフリカ沖の喜望峰回りにすると追加コストがかかり、石油輸送の航海の利益率が低くなるだろうと述べた。

「ですから、なんとか頑張って通り抜けるのです」と彼女は言った。

船舶分析会社マーヘルムのデータによると、12月初旬以降、チャーター料金は約2倍になった。最大100万バレルを運ぶことができるスエズマックスタンカーによる石油の輸送は、1日あたり8万5,000ドルもの費用がかかる。75万バレルを輸送できるアフラマックスタンカーの費用は1日あたり7万5,000ドルだ。

マリトレースによると、紅海南部地域のタンカー通行量は、フーシ派が船舶への攻撃を強化した12月18日から22日にかけて、平均66隻と一時的に減少したが、その後は回復した。

一方で、この地域のコンテナ船の12月の通行量は、11月に比べて28%減となり、攻撃が激化した月の後半には急激に落ち込んだ。

「リスクを負ってでも」

LSEGデータの分析によると、複数の石油メジャー、精製業者、商社が紅海航路を利用し続けている。

「荷主とその顧客は、スケジュールの混乱を避けることを強く望んでいます。ですから、リスクを負ってでも紅海を使っているのです」とマーヘルムの創業者カルビン・フロエッジ氏は語る。

同氏は、紅海を航行する多くの石油タンカーがロシア産原油をインドに輸送しているが、フーシ派はそれらを攻撃する気はないと指摘した。

LSEGの船舶追跡情報によると、シェブロンがチャーターしたデルタ・ポセイドン号は、12月末にスエズ運河と紅海を通ってシンガポールへと向かった。インドの精製会社リライアンスがチャーターしたサンマー・サロッド号も、ガソリンの材料を米国に届けるべく、12月下旬に紅海を渡ったことがデータで示されている。

シェブロンは、「今後も紅海および中東全域の航路の安全性を積極的に評価し、最新の動向に基づいて決定を下す」と広報担当者は述べた。

リライアンスはコメント要請に応じなかった。

商社ガンバー傘下のクリアレイク、インドの精製会社バーラト・ペトロリアム、サウジアラビアのアラムコ・トレーディング・カンパニーがチャーターした他のタンカーも、ここ数週間でこの航路を航行している。いずれの会社もコメントを拒否、あるいはコメントの求めに応じなかった。

紅海を利用することで、シンガポールからジブラルタルまでの航行距離を約3,700海里短縮することができる。

変化する流れ

BPやエクイノールなどの一部の企業は、紅海を通るすべての航行を一時停止し、この地域における船舶の航路を変更した。

船舶追跡サービス「ヴォルテクサ」によると、12月後半以降、少なくとも32隻のタンカーがスエズ運河を使わずに迂回または喜望峰経由で航行した。

迂回しているタンカーのほとんどは、紅海での航行の一時停止を発表した企業がチャーターしたタンカーか、米国およびイスラエルに関連する企業が運航するタンカーだとヴォルテクサは付け加えた。

アジアの燃料油トレーダーや燃料供給会社は、紅海の動向を引き続き注視しているが、スエズ東部では今のところ十分な供給があり、現在行われている迂回によって価格が押し上がる可能性は低いと語った。

船舶追跡会社ケプラーのデータによると、東から西への輸送の混乱は、これまでのところ主に欧州のディーゼル燃料とジェット燃料の輸入に影響を与えている。

一方、西から東への輸送の迂回により、中東、アジア太平洋、東アフリカへの欧州の燃料油とガソリンの輸送の一部に影響が生じていることが、ケプラーのデータで示されている。

同社のアナリスト、マット・スミス氏は、紅海周辺の緊張により、より多くの石油バイヤーが米国に目を向けるようになっており、これが12月の欧州向け原油輸出量の日量230万バレルという過去最高記録につながった可能性が高いと述べた。

スミス氏は、「紅海で続く不確実な状況が、欧州による(米国産原油の)購入に若干の刺激を与えているようだ」と語った。

ロイター

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