
Najia Houssari
ベイルート: 50日前、6人の女性が新内閣の大臣職に任命された。その数は全体の3分の1を占める。昨今の政治・経済情勢に鑑みると、決して羨ましがられる楽な道ではない。
6人の女性はそれぞれ、経営、法律、工学、社会科学、政治科学、仏文学の学士号または博士号を取得しており、国防相、司法相、情報相、労働相、青年・スポーツ相、そして避難民担当相に任命された。彼女らは政治家としての経験はないが、皆主要政党から選出されている。
女性大臣の数はレバノンの最高記録を塗り替えた。
新政府には、レバノン人女性およびアラブ人女性初の副首相兼国防相として、ザイナ・アクルが就任した。
首相のハサーン・ディヤーブは、多くの女性を新内閣に登用することを強く主張していた。これは、レバノン社会における女性の役割に対する意識変革を象徴しているのだろうか?
レバノン女性評議会の元会長で、女性の権利活動家のイクバール・ドゥーガーンによると、女性閣僚の任命は50年に及ぶ苦闘の結果であり、レバノンが支持する女性の権利における国際合意によってレバノン女性の地位が上がった結果だという。
「レバノンの政治家たちは、約束したことを実行していると国際社会にアピールしたいのです。圧力をかけられた結果だったのかもしれませんが、女性たちの大望はここで終わりません。能力を基準として男女平等に政治的役職につけるようにしたいのです」と、ドゥーガーンは語る。
また彼女は、「レバノン女性の社会的地位はまだ十分高いとは言えません。法律や人々の意識・考え方が変化していく必要があります」と付け加えた。
「レバノンの路上を占領して抗議運動を行う革命的な女性たちがいました。私たちは最前線に立ち、革命の原動力となってきました。しかし一度目標が達成されてしまえば、そこに参加していた女性たちが再び家に戻されてしまうのではないかと危惧しています。」と、ドゥーガーンは述べる。
レバノン大学人文学部の学生であるイマン・アブデル・ナビ・バラウトは、ベイルートで発行している人文学部の雑誌“Awraq Thaqafiyyah”(文化論集)にて以下のように指摘している。「女子差別撤廃条約の承認に貢献した数々の努力や変革と、女性の権利を人権のメカニズムに統合したことにより、レバノン内閣は条約調印を許可する法律を通過させた。しかしレバノンにおける条約の批准には、子どもに市民権を与えたり親権を取ったりする際に、女性が男性と同じ権利を持つことができないよう条件が付けられている。このことは、女性の尊厳と権利を完全に保証する妨げとなっている。」
職場における女性差別も、別の障害を示唆している。
バラウトによると「公的・私的機関において、同等の仕事をこなしている男女間で給与に差があり、女性は昇進が遅く管理職のトップになることを許されない現状、既婚女性や母親が忌避される職業分野がある現状、女性が社会的不利益を被っている現状」がある。「憲法では全国民に適用される一般条項で、経済・社会・文化的権利にかかわらずすべてのレバノン国民に平等な権利が与えられている」のに、である。
「レバノンの政治や公務における女性の地位は、まだあまり大きくはない」と、バラウトは考えている。その理由に「男性中心の構造モデル、人材開発に対する構想の欠如、社会文化の不足、政治行動の自由の欠如、政治家による汚職の広がり」などを挙げている。
近年、女性の権利改革の一環として、離婚したレバノン女性に子どもの名前を含めた戸籍届を獲得する権利を与えると内務省の長が決定を下した。この決定は、完全な情報が掲載された公的文書を取得する権利を、家族と関係なくすべての女性に与えることを目的としている。
レバノンで男女平等に関する相談を受けているランダ・ヤシールはこう語る。「現政権および、内相とエネルギー相に女性を登用する道を拓いた前ハリーリー政権において、たくさんのレバノン人女性がバランスよく役職に就いたことは、レバノンや他のアラブ世界に良い意味で衝撃を与えました。女性が省庁の長になるのはセンシティブな問題です。このことはレバノンのみならず、アラブ全体で固定観念を打破した感動的な出来事だったと考える人もいるのです。」
「政治活動には能力と経験が必要で、成功を収めるためには女性も男性も同等の政治・治安状況に直面しなければなりません。しかし女性はそれに加えて、男性以上に責任を負い、より厳しい監視と説明責任の下で男性の同僚以上に活躍しなければならないという、男性的な価値観とも戦っているのです。」と、ヤシールは指摘している。