
ダボス:カタールのシェイク・ムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニー首相は、米国と英国の軍事攻撃は、イエメンのフーシ派による紅海の商業航路への攻撃を封じ込めることはできず、逆に地域の危険性が高まるリスクがあると述べた。
ダボスで開催された世界経済フォーラムで、アール・サーニー首相は、地域紛争の拡大を防ぐためには軍事的解決よりも外交的努力をと促し、紅海でのエスカレーションは国際貿易に影響を及ぼしているため「最も危険」だと指摘した。
1月11日、米国と英国は、紅海での商業船舶に対する最近の攻撃への報復として、イエメンのフーシ派支配地域でイランに支援された民兵への攻撃を開始した。
フーシ派は15日、紅海で米国の駆逐艦に向けて対艦巡航ミサイルを発射してから1日も経たないうちに、イエメン沖で米国所有のコンテナ船を弾道ミサイルで攻撃することで報復した。
カタールの外務大臣を兼任するアール・サーニー首相は、他の小規模な紛争の原因となっているガザの中心的な問題に取り組む必要性を強調した。
「もし、私たちが症状だけに注目し、本質的な問題を治療しないのであれば、(解決策は)一時的なものになるだろう」
同首相はまた、カタールは、ガザでの紛争を沈静化させることで、他の前線でのエスカレーションを阻止できると考えていると述べ、現在の地域情勢は「あらゆる場所でのエスカレーションのレシピとなっている」と付け加えた。
アール・サーニー首相は、パレスチナでは外交と二国家解決が唯一の道であると繰り返し述べ、長年にわたってイスラエルがいくら武力を行使しても和平への道へは近づけなかったと指摘した。
イスラエルに対して、期限付きで不可逆的かつ強制的な二国家解決への道筋に同意するよう求めることが、イスラエルとパレスチナ領土の将来の安定の鍵である、と同首相は指摘した。
「パレスチナ問題を隠蔽できると考えていた政治家もいるが、10月7日以降に起こったことは、パレスチナがこの地域にとってだけでなく、世界全体にとっての中心的な問題であることを示している」
「イスラエルで政権を握るどの政党にも、決議を義務づける何かが必要だ」とアール・サーニー首相は付け加えた。
同首相は、ガザを運営するハマス運動が今後も政治的役割を果たし続けるかどうかを決めるのは、パレスチナ人でなければならないと述べた。
イスラエルとパレスチナ間における実行可能で持続可能な二国家解決がなければ、国際社会はガザの復興に資金を提供することに消極的になるだろう、とアール・サーニー首相は述べた。
イスラエルとハマスの戦争が10月7日に始まって以来、紛争は中東の他の地域にも拡大しており、イランと連動する組織がレバノン、シリア、イラク、イエメンで攻撃を行なっている。
米英の報復攻撃は中東や両国内で批判を浴び、英国の数人の議員は、なぜ議会が最初にこの行動について議論するために召集されなかったのかと疑問を呈した。
リシ・スナク英首相は16日、攻撃は「成功」したと議会に語ったが、フーシ派は今後も船舶を標的にし続けると宣言した。