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国連の人権専門家、「ガザの住民全員」が飢えに陥るなか「ジェノサイドの広がり」を警告

ガザ地区南部のラファで、食料が不足するなか食べ物の受け取りを待つパレスチナ人たち。(ロイター通信)
ガザ地区南部のラファで、食料が不足するなか食べ物の受け取りを待つパレスチナ人たち。(ロイター通信)
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17 Jan 2024 04:01:08 GMT9
17 Jan 2024 04:01:08 GMT9
  • 一般市民全体がこれほど急速かつ徹底的に食料不足に追い込まれる状況は前例がないと専門家はいう
  • イスラエルは、ガザ地区の生産・供給インフラを破壊し、食料を戦争の兵器として使っていると非難されている

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:火曜日、国連の独立専門家らは、現在世界で飢きんや壊滅的な飢餓に直面している人の80%がガザ地区の住民であると警告した。この警告は、ガザ地区に対するイスラエル軍の攻撃が続き、専門家らがこの包囲された飛び地における前例のない人道的緊急事態を強調するなかで発せられた。

「現在、ガザ地区のすべての人が腹を空かし、人口の4分の1が飢えて、食べ物や飲み水を見つけるのにも苦労しており、飢きんが差し迫っている」と人権専門家グループは語った。

さらに、十分な栄養と医療の欠如が妊婦とその胎児の命を危険にさらしており、飢きんの脅威が増し続けるなか、5歳未満のすべての子ども、合わせて約33万5,000人が重度の栄養不良の影響を非常に受けやすい状況となっていると付け加えた。

この専門家らは、全世代が発育阻害のリスクにさらされていると懸念を表明した。発育阻害は、栄養不足により小さな子どもの成長と発達が妨げられ、治療不能な身体的および認知的障害を引き起こし、学習能力に重大な脅威をもたらす。

この専門家グループには、1967年から占領されているこのパレスチナ人領土における人権状況に関する国連特別報告者フランチェスカ・アルバネーゼ氏、女性と少女に対する暴力に関する特別報告者リーム・アルサレム氏、安全な飲料水と衛生に対する人権に関する特別報告者ペドロ・アロホ・アグド氏ほか、食料に対する権利、教育に対する権利、身体的および精神的健康の達成可能な最高水準を享受する万人の権利、適切な住居に対する権利、国内避難民の人権に関する特別報告者らが名を連ねている。

彼らは、「17年におよぶイスラエルによる封鎖を背景に、この戦争前はガザ地区の住民の約半数が食料不安を抱え、80%以上が人道援助に依存していた」が、イスラエルによるガザ地区の「全面包囲」が10月9日に始まり、230万人のパレスチナ人から水、食料、燃料、医薬品、その他医療物資が奪われてから、「ガザ地区に安全な場所はなくなった」と述べた。

紛争中のこれまでの援助物資のほとんどはガザ地区南部に集中している。1月1日の時点で、ワディ・ガザ北部の地域に食料を含む援助物資が届いたのは、予定されていた24件の輸送のうちわずか5件だけだ。

特にガザ地区北部の状況悪化について、専門家たちの間で懸念が高まっている。この地域では、住民は長期化する食料不足に見舞われ、必要なリソースへのアクセスが大幅に制限されている。

一方、ガザ地区南部では、多くの避難民が適切とは言えない避難所や基本的な設備が整っていない地域で暮らしており、すでに厳しかった生活環境によって生じた問題がさらに悪化している。

専門家らは「一般市民全体がこれほど徹底的かつ急速に飢えに陥るのは前例がない。イスラエルはガザの食料システムを破壊し、パレスチナ人に対する武器として食料を使っている」と語った。

そして、イスラエル兵がガザ地区北部の果樹園や温室をはじめ、領土内の農地と施設の22パーセント、さらにはガザ地区の漁船の70パーセントを破壊したと述べ、農地と海へのアクセスを破壊または遮断しているとしてイスラエルを非難した。

専門家らは、「届けることが許された人道援助はごくわずかで、依然として食料や調理に必要な燃料が不足している。燃料、水、小麦粉の不足に加え、建物の損傷により、ほとんどの製パン所が稼働停止になっている」と話した。

「家畜も飢えており、食料の提供や食料源になることができていない。その一方で、安全な水へのアクセスがますます難しくなり、広範な病院破壊によって医療システムが崩壊し、感染症蔓延のリスクが著しく高まっている」

イスラエル軍はガザ地区にあるパレスチナ人の住宅の60パーセント以上を破壊し、家庭で食事を作ること不可能にするとともに、「住居の大量破壊によるドミサイド」を引き起こして、この領土を住むことができない場所にしていると彼らは付け加えた。

国連人道問題調整事務所は、安全を求めて何度も移動を強いられた人も含め、ガザ地区の人口の85%近くとなる約190万人が同地区内で避難民となっていると推計している。

「我々はジェノサイドの危険性について何度も警告を発し、すべての政府にジェノサイドを防ぐ義務があることを念押ししてきた」とこの専門家らは語った。

「イスラエルは、無差別砲撃でパレスチナの民間人を殺害し、取り返しのつかない被害を与えているだけでなく、民間インフラを破壊することによって、意識的・意図的に病気、長期にわたる栄養不良、脱水症状、飢餓が発生する可能性を高めている」

「飢餓を防ぐためには、いかなる妨害を受けることなく、直ちにガザの人たちに援助が届けられる必要がある」

さらに続けて、次のように語った。「ジェノサイドの広がりに対する我々の警告は、継続されるガザ地区への爆撃のことを言っているだけではなく、イスラエルの長年にわたる占領、封鎖、そして現在の市民生活の破壊によって引き起こされる、緩やかに訪れる苦しみや死も含まれる。なぜなら、ジェノサイドは継続的なプロセスを経て進行するもので、単一の出来事ではないからだ」

「イスラエル人とパレスチナ人の双方にとって平和、安全、安定を達成するための明確な道は、パレスチナ人の民族自決の実現にある。これは即時停戦とイスラエルの占領終焉によってのみ達成することができる」

特別報告者は、国連人権理事会の特別手続きとして知られる仕組みに沿って任務に就く。彼らは自発的に活動する独立した専門家であり、国連職員ではなく、その活動に対する報酬も支払われない。

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