• 昨年4月から6月にかけて、エルジェニーナではアフリカ系民族マサリット族に対する「激しい暴力」があったと、監視団は報告している。
• 報告書は、準軍事組織RSFとその同盟組織を、「戦争犯罪と人道に対する罪に相当する可能性がある」と非難した。

国連/カイロ：ロイターが19日に確認した国連報告書によると、スーダンの西ダルフール地域では昨年、準軍事組織「即応支援部隊（RSF）」とその同盟組織であるアラブ系民兵による民族暴力により、ひとつの都市で1万人から1万5000人が殺害された。

国連安保理に提出されたこの報告書の中で、独立した国連制裁監視団は、エルジェニーナでの犠牲者数を情報源に基づいて報告し、2023年4月15日にスーダン軍とRSFの間で戦争が勃発して以来、スーダン全土で約1万2000人が殺害されたとする国連の推定と対比させた。

監視団はまた、アラブ首長国連邦（UAE）がチャド北部のアムジャラスを経由して「週に複数回」RSFに軍事支援を行っていたとの告発を「信憑性がある」と指摘している。スーダン軍司令官は11月、UAEがRSFの戦争活動を支援していると非難した。

UAEは監視団に宛てた書簡の中で、戦争から逃れてきたスーダン人を助けるため、人道支援物資を積んだ122便の飛行機をアムジャラス送ったと述べた。国連によれば、約50万人がスーダンを逃れ、アムジャラスから数百キロ南のチャド東部に避難しているという。

監視団によると、昨年4月から6月にかけてエルジェニーナは「激しい暴力」に見舞われ、RSFとその同盟組織がアフリカ系民族マサリット族を標的に、「戦争犯罪と人道に対する罪に相当する可能性がある」攻撃を行ったと非難している。

RSFは以前、これらの非難を否定しており、関与が判明した場合、その兵士は正義に直面すると述べた。RSFはロイターのコメント要請に即座に応じていない。

「攻撃はRSFおよび同盟アラブ民兵によって計画、調整、実行された」と制裁監視団は15カ国で構成される安全保障理事会への年次報告書に記した。

「頭を撃たれた」

ロイターは昨年、西ダルフールで起きた、民族を標的にした暴力を記録した。ロイターによる数百のインタビューの中で、生存者はエルジェニーナや、同都市からチャド国境までの30キロメートルの避難ルートで起きた流血の恐ろしい光景を描写した。

監視団の報告書にも類似した記述がある。6月14日から17日にかけて、約1万2000人がエルジェニーナからチャドのアドレに向けて徒歩で逃亡したという。マサリット族は、攻撃によって大量脱出を余儀なくされるまでは、エルジェニーナで多数を占めていた。

「RSFの検問所に到着したとき、女性と男性は引き離され、嫌がらせを受けた。彼らは検査され、強奪され、身体的暴行を受けた。RSFと民兵は、何百人もの人々の足を無差別に撃ち、逃亡を阻止した」と監視団は述べている。

「若い男性は特に狙われ、民族について尋問された。マサリット族であることが確認されると、その多くは頭を撃たれ、即座に処刑された。女性は身体的、性的暴行を受けた。無差別の銃撃によって女性や子供も負傷し、殺された」と報告書は述べている。

監視団と話した全員が、「女性、子供、若者を含む多くの死体が道路沿いにあった」と述べている。監視団はまた、RSFとその同盟民兵による「広範囲にわたる」紛争関連の性的暴力も報告した。

新たな火力

監視団は、RSFがダルフールの大部分を掌握したのは、3つの支援ラインによる所が大きいと述べている。1つはアラブの同盟社会、次に動的かつ複雑な資金ネットワーク、そしてチャド、リビア、南スーダンを経由する新たな軍事供給ラインだ。

チャド、リビア、南スーダンの国連ミッションは、コメント要請に即座に応じていない。

「戦争前および戦争中にRSFが設立した複雑な金融ネットワークにより、武器を獲得し、給与を支払い、メディアキャンペーンに資金を提供し、他の政治的・武装集団の支持を買うことができた」と監視団は記述している。さらに報告書は、RSFは戦争前の金ビジネスからの収益を使って、複数の産業で最大50社のネットワークを作成したと付け加えた。

戦争が始まって以来、「以前はUAEに輸出されていたほとんどの金は、今ではエジプトに密輸されている」と監視団は述べた。

RSFが獲得した新たな火力は、「ダルフールおよびスーダンの他の地域において、勢力バランスに大きな影響を与えた」と報告書は指摘している。

RSFは最近、スーダンの主要都市のひとつであるワド・マダニを掌握し、ダルフール西部地域の支配を強化するなど、軍事的に優勢になっている。

昨年12月、米国はスーダンの紛争当事者が戦争犯罪を犯したと正式に確認し、RSFとその同盟民兵も人道に対する罪と民族浄化を行ったとした。

この戦争により、スーダンの人口4900万人の半数近くが援助を必要とし、750万人以上が避難民となった。これにより、スーダンは世界最大の難民危機となり、飢餓が増加している。

制裁監視団は国連安保理に対し、「過剰な調停プロセス、戦争当事者の固執した立場、地域的利害の競合により、これらの和平努力はまだ戦争を止め、政治的解決をもたらし、人道危機に対処する段階にない」と述べた。

ロイター