
ガザ地区:封鎖されたパレスチナ領土のガザでイスラエルが攻撃を続ける中、ハマスの指導者が1日にカイロを訪れ、ガザの戦闘休止案について協議する。
ある関係者がAFPに語ったところによると、仲介国がパリに集まり、この壊滅的な紛争の新たな戦闘休止に向けた国際的な取り組みが加速しているのを受けて、ハマスがイスラエルとの紛争の6週間の戦闘休止案を精査しているという。
ガザ地区では戦闘や空爆の勢いは一向に弱まっていない。現在、過激派勢力ハマスの指導者らが潜伏しているとイスラエルがみている、ガザ南部の主要都市ハーン・ユーニスが標的となっている。
目撃者の証言によると、一晩の間にイスラエル軍による空爆を数回受けたという。援助関係者や医療従事者からは連日、特に2つの病院周辺で激しい戦闘があったと報告されている。
ハマスが運営するガザの保健当局によると、直近の夜間の攻撃で119人が殺害された。
「今この瞬間も虐殺が起きています」と、国際NGO「国境なき医師団」のパレスチナ自治区責任者、レオ・カンス氏は語った。
イスラエルは、ハマスがガザ地区の病院の下にあるトンネルから作戦行動を展開し、医療施設を司令部として利用していると非難しているが、ハマスはこれを否定している。
人道援助の提供が制約されているため、ガザ住民は「飢え死にしそうになっている」と、1月31日、世界保健機関の緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏が述べた。
「ガザの民間人はこの紛争の当事者ではない。医療施設もそうだが、民間人は保護されるべきです」と同氏は述べた。
国連は最新の情報で、ガザ地区全域、特にハーン・ユーニスで激しい砲撃があったと報告しており、ガザ地区のパレスチナ人18万4000人が自宅からの避難後に人道援助を受けるために登録されたと述べた。
カタールとエジプトが主導する仲介の取り組みが活発になり、ハマスの指導者、イスマイル・ハニヤ氏は、先週末にパリで徹底的に議論された戦闘休止案についてウィリアム・バーンズ米CIA長官と話し合うため、1日にカイロを訪れる。
ハマス関係者がAFPに対して語ったところによると、戦闘休止案は3段階に分かれており、最初の6週間の戦闘休止でガザ地区への援助物資の搬入を増やす。
この段階でイスラエルにいるパレスチナ人拘束者と引き換えに、ハマスによって人質とされている「女性、子供、60歳以上の病気の男性」のみが解放される。機密にすべき交渉内容のため匿名を条件に情報筋が語った。
同情報筋によると、「イスラエル軍撤退に関する交渉」が行われた模様で、人質と拘束者のさらなる交換を含む段階が追加される可能性もあり、パレスチナ領土の再建も俎上に上げられているという。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はガザからの軍撤退を否定しており、10月の攻撃に報復するためにハマスを壊滅させると繰り返し明言している。
ネタニヤフ氏はまた、いかなる取引であっても「数千人」のパレスチナ人拘束者を釈放することに反対しているが、1月28日に進行中の交渉は「建設的」だとみていることが官邸を通じて伝わっている。
いまもガザに閉じ込められている多くのイスラエル人人質の家族は、大切な人たちがいつ帰ってくるのか分からない中、ネタニヤフ政権への批判が高まっており、抗議デモが広がり早期選挙の要求まで出ている。
ハマスによる攻撃に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員数名が関与したというイスラエルの告発後に起きたUNRWAをめぐる大論争により、ガザ人々が人道援助を受けることがさらに難しくなっている。
イスラエルの告発を受けて先週、イスラエルの主要な同盟国である米国をはじめ一部の援助国がUNRWAへの資金拠出を一時停止した。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は委員会で、「資金拠出国から懸念の内容を聞き取り、我々が講じている措置について説明した」と述べた。
UNRWAの広報担当、タマラ・アルリファイ氏はAFPに対し、UNRWAは、資金が危機的になるきっかけとなったイスラエル側の主張について「第三者による調査」を支持すると述べた。
ネタニヤフ氏はエルサレムでの国連大使らの会合で、UNRWAにはハマスが「隅々にまで入り込んでいた」と語った。同氏は、UNRWAに代わる他の機関が必要と述べた。
戦争の影響は広範囲に及んでいる。イランが後ろ盾のハマスの同盟国が関与する暴力が10月以降、中東全域で急増しており、米軍をはじめとする他国軍も見過ごせなくなっている。
米政府は、ヨルダンの基地で米兵3人が殺害された先週末のドローン攻撃について、緩やかな同盟関係にある親イラン武装組織のイラクのイスラム抵抗勢力(Islamic Resistance in Iraq)を非難した。
米軍は1月31日、米海軍駆逐艦がイエメンの反政府勢力フーシ派が発射した対艦ミサイルとともに、イランのドローン3機を撃墜したと発表した。
米軍はまた、イエメンでフーシ派の攻撃用ドローン10機と地上管制局を攻撃したと発表。これに先立ち、米軍航空機に「差し迫った脅威」をもたらすとして地対空ミサイルを攻撃したと発表していた。
フーシ派は紅海でイスラエル関連とされる船舶に対して、繰り返し攻撃している。
その結果、国際通貨基金は今年、この重要な貿易航路を通過するコンテナ輸送量が約3分の1減少したと発表した。