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独占記事:イスラエルの柔道家ラズ・ヘルシュコ、対戦したサウジアラビアのタハニ・アル・カハタニ を「勇敢」と称賛

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05 Aug 2021 04:08:28 GMT9
05 Aug 2021 04:08:28 GMT9

レベッカ・アン・プロクター

ドバイ:オリンピックの試合で、2人の女性柔道家が1枚のマットの上で戦った。しかし、このタハニ・アル・カハタニ選手とラズ・ヘルシュコ選手がたまたまサウジアラビアとイスラエルの出身だったことで、東京2020オリンピックでおこなわれたこの女子柔道78キロ級1回戦はただの試合ではなくなった。

両国は正式に交流しておらず、スポーツ交流の歴史も全くない。地域政治やボイコット運動のせいで、アラブ選手はイスラエルとの対戦を拒否するのが当たり前になっている。そうしなければ、相手国を承認したと解釈される恐れがあるからだ。

イスラエルの柔道家であるヘルシュコがアラブニュースの独占インタビューに対し、アル・カハタニの勇気を讃えたのはそのためだ。サウジアラビアのアル・カハタニ選手は、「試合をボイコットしろ」という憎悪主義者の声を無視しただけでなく、ヘルシュコ選手の方がはるかに国際経験を積んでおり、勝つ可能性が高いことを知っていながら試合に挑んだのだ。

この23歳のイスラエルの柔道家は「政治的なことはさておき、自分の好きなことをするというのは素晴らしいことです。オリンピックでは何が起こってもおかしくないですね。私はとても興奮しました」と述べている。

「アラブ人がこのように試合を受けることはめったにないと知っていたため、彼女が了承したと聞いてとても興奮しました。政治的なことはひとまず置き、二人で一緒に大好きな柔道の試合をしたんです」。

柔道男子73kg級では、アルジェリアのファトヒ・ヌリーン 選手とスーダンのモハメド・アブダルラスール 選手がイスラエルと対戦する可能性を考慮し、出場を辞退していた。しかし、アル・カハタニ選手はヘルシュコ選手との対戦を選択した。この決断は日本メディアからも賞賛されたほか、サウジアラビアの著名人やスポーツファンからも応援の声が寄せられた。

アル・カハタニ選手は、33人のサウジアラビア選手の中で最後に東京2020大会への出場を決めた。ワイルドカード(特別枠)でオリンピック参加を決めた女子柔道選手は、2012年のロンドン大会以来2人目となる。

両者は並んでマットに登場した。経験の浅い22歳のサウジアラビア選手にとっては厳しい試合になることが予想されていた。ヘルシュコ選手は試合が進行するごとにポイントを重ね、最終的には11-0でアル・カハタニ選手を下した。

ヘルシュコ選手は「序盤はきつい戦いでした。アル・カハタニ選手は勇敢でした。私と戦うことを決めたせいで憎悪に満ちた圧力を受けたにもかかわらず、勇気を出してこの試合に挑んだのです」と付け加えた。

勝者となったヘルシュコ選手は「私たちはただの人間同士として、異なる国の女性と試合をしました」と述べた。「アメリカや南アフリカの選手と戦うのと同じです。アル・カハタニ選手が政治的なことを抜きにし、勇気を出して試合を受けたのは素晴らしいことです」。

アル・カハタニ選手が敗れた後は、このような圧力のせいで彼女のパフォーマンスに悪影響が出たのではないかという声も上がった。

アル・カハタニ選手からのコメントはなかったが、ヘルシュコ選手はこの試合の重要性と、複数の国がイスラエルとの国交を正常化した後も中東の政治が話題になる中でスポーツがもたらす団結力について語った。

「政治は関係ありません。いい試合でした」。

国際柔道連盟は、試合後に次のような声明を出した。

「この試合は、スポーツが政治や外交上の影響を超越できることを示した」。

アル・カタハニ選手の勇気あるパフォーマンスは、現在のサウジアラビアが柔道マットの内外で大きく変化しつつあること、そしてスポーツや文化は地政学を超えて対立国家の人々を結びつけられるということを示した。

サウジアラビアでの試合の招待があれば受けるかと聞かれたヘルシュコ選手は「もちろん」と答えている。

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