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イランと連携する組織に対する米国の報復にイラクとシリアが憤慨

シリアおよびイラクのイランが支援する勢力への、死者を出した米国の攻撃に対し、3日に地域から激しい非難が寄せられた。(ロイター)
シリアおよびイラクのイランが支援する勢力への、死者を出した米国の攻撃に対し、3日に地域から激しい非難が寄せられた。(ロイター)
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05 Feb 2024 02:02:05 GMT9
05 Feb 2024 02:02:05 GMT9
  • 2日夜の攻撃で45人が死亡した
  • ジョー・バイデン大統領は、米軍への死者を出した攻撃に対する報復としてのさらなる行動を誓った

ダマスカス:シリアおよびイラクのイランが支援する勢力への、死者を出した米国の攻撃に対し、3日に地域から激しい非難が寄せられた。ジョー・バイデン大統領が米軍への死者を出した攻撃に対する報復としてのさらなる行動を誓った後のことだ。

2日夜に45人の死者を出す攻撃を行った米国は、28日にヨルダンの米軍基地を襲ったドローン攻撃は、イラン政府が支援する武装組織によるものだとした。

ところが米軍は、イラン領土内への攻撃はしておらず、米国とイランは双方とも全面戦争を必死に回避しようとしているようだ。

しかし、ガザでのイスラエル・ハマス戦争により、緊張は既に高まっており、シリアとイラクの政府はどちらもイランとともに、地域の安定を損なっていると米国を非難した。

国家安全保障会議のジョン・カービー広報官は、米国の戦闘機がシリアの4施設、イラクの3施設の合計「7施設で85以上の標的」を攻撃したと述べた。

「これらの標的は、民間人の犠牲者を出さないように注意深く選ばれた」と、同氏は加えて述べた。

しかし、イラク政府は、同国西部の少なくとも16名の死者の中には民間人が含まれていると発表し、シリア政府も民間人の死亡を報告した。だが、戦争監視団は、米国によるシリアへの攻撃で死亡した29人は全員が戦闘員だと述べた。

「この侵略的な空爆は、イラクおよび地域の治安情勢を崖っぷちに追い込むことになる」と、イラク政府のバセム・アル・アワディ報道官が述べた。

イラクのムハンマド・シア・アル・スダニ首相は3日間の服喪を宣言し、外務省は、バグダッドの米国臨時代理大使に攻撃についての公式抗議書を渡したと述べた。

イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、この夜間攻撃は「緊張と不安定な状態を悪化させるだけ」だろうと述べた。

10月7日のイスラエルに対する前例のない攻撃で、地域における現在の暴力の連鎖を引き起こしたハマスは、米国は「火に油」を注いでいると非難した。

一方で、外交筋によると、「シリアおよびイラクへの米国の攻撃がもたらす平和と安全への脅威に関する」会合を、ロシアが求めたことを受け、5日に国連安全保障理事会の会合が開かれる予定だという。

シリア外務省は、今回の攻撃は「中東の紛争を激化させる」ものだと述べた。

シリア陸軍は、シリア東部で「多数の民間人と兵士」が死亡したと発表したが、監視団体「シリア人権監視団」からは、民間人の死者の報告はなかった。

英国を拠点とする同監視団によると、レバノンのビズボラの戦闘員少なくとも6人を含む、29人の親イラン派戦闘員が攻撃により死亡した。

ヒズボラは米国の作戦を非難し、地域全体で「紛争、緊張、エスカレーションの激化を促す」ものだとした。

シリア人権監視団が先立って伝えたところによると、一部の武装組織が拠点からの退避を開始し、デリゾールとマヤディーンの町の民間人が米国のさらなる攻撃を恐れて自宅から避難した。

シリアの文化省は、地元メディアが9世紀の要塞を破損させたと伝えたデリゾール県への「野蛮な」攻撃を非難した。

バイデン氏は、今回の夜間攻撃はほんの手始めだと述べた。「我々の返報は...我々が選ぶ時と場所で続く」と、バイデン米国大統領は語った。

米国政府が「攻撃の前に」イラク政府に知らせたと述べたことを受けて、イラク政府報道官は憤慨して否定し、「国際世論を誤った方向に導くために作り出された事実無根の主張」だとした。

10月にガザでの戦争が始まって以来の、米国主導の部隊に対する相次ぐ攻撃への返報として、米国は前回の空爆を行っており、両国政府間の緊張はここ数か月で高まっている。

米国とイラクは先月の終わりに、米国主導の駐留部隊の今後に関する話し合いを開始した。スダニ氏が部隊撤退のタイムテーブルを繰り返し要請したことを受けての動きだ。

米国は、ダーイシュと闘う国際連合軍の一部として、シリアにおよそ900人、イラクにおよそ2,500人の部隊を駐留させている。

イラクに駐留する部隊は、イラク政府の招きに応じて派遣されているが、シリアの部隊は政府の管理外の地域に派遣されている。

シリア軍は3日に、米国が部隊を撤退させることを要求した。

「米軍によるシリア領土の一部の占領が続いてはならない」と、シリア軍は述べた。

アナリストは、イスラエルとハマスの戦争における米国のイスラエル支援により引き起こされた、米国の標的への相次ぐ攻撃が、米国の攻撃により止む可能性は低いと述べた。

シンクタンク「アメリカ進歩センター」のアリソン・マクマナス氏は、攻撃は「大きな激化」を意味するものだが、「同じような仕返しの攻撃にこれまで抑止効果は見られなかった」と述べた。

米軍へ多数の攻撃を行っていると米国政府が非難する親イラン同盟の一部である、イラクの組織アル・ヌジャバは返報を誓った。

声明の中で同組織は「米国の占領軍に...イスラム抵抗組織は、適切とみなすやり方により、選んだ時と場所で返報を行うつもりであり、これで終わりではないと」警告した。

10月中旬以降に、米国と連合軍の部隊はイラク、シリア、ヨルダンで165回以上の攻撃を受けてきた。

28日に死亡した兵士たちは、この武力衝突の急増における、敵からの攻撃による最初の米軍の死者となった。

AFP

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