
ラマッラー(ヨルダン川西岸地区):イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で、同国軍が46歳のパレスチナ系米国人女性の自宅に侵入し、この女性をベッドから引きずり出して拘束したと、その家族が火曜日に話した。そして、拘束されてから2日近くになるが、彼女がどこにいるか見当もつかないと語った。
身柄拘束のニュースは、ガザ地区におけるイスラエルの戦争を停戦に持ち込むことを目指す外交使節団として、アントニー・ブリンケン国務長官がイスラエルに到着する直前に伝えられた。サマハー・エスマイルさんの地元ルイジアナ州選出の下院議員は、彼女の逮捕の「真相を解明する」と誓う一方で、国務省はこの事案を調査していると述べた。
親族らによると、ヨルダン川西岸地区の町シルワドで月曜日早朝、就寝中のこの女性宅にイスラエル兵が押し入り、ベッドから引きずり出したという。女性の息子がツイッターに投稿したこの出来事の動画には、兵士が彼女を取り囲み、装甲車両に押し込む様子が映っていた。
サマハーさんの弟で米国在住のムバラク・エスマイルさん(35歳)は、「兵士らは姉の家に侵入し、彼女をベッドから引きずり出しました。彼女にヒジャブ(頭を覆う伝統的なスカーフのようなも)を着用させることすらしませんでした」と話した。ムバラクさんの話では、サマハーさんは一人暮らしで、眠気を催す子宮がんの治療薬を服用しているので、おそらく兵士たちの声さえ聞こえなかったのだろうとのことだ。
イスラエル軍は、彼女が「ソーシャルメディアでの扇動」容疑で身柄を拘束され、取り調べのために連行されたと発表した。
サマハー・エスマイルさんはルイジアナ州グレトナ出身で、最近近くの村でイスラエル軍の攻撃により死亡した、パレスチナ系米国人の十代の少年と同郷である。17歳のタウフィック・アブデル・ジャバー君の死に、ホワイトハウスは懸念を表明し、イスラエル警察は異例の速さで調査を約束した。その調査結果はまだ発表されていない。
エスマイルさんの家族によると、彼女はヨルダン川西岸地区と米国を頻繁に行き来しており、グレトナで家族経営の食料品店を経営する傍ら、近くの高校で指導員として働いていたという。家族は米国大使館の担当者と連絡を取っているが、彼女の現在の居場所については何もわかっていないと話した。
ルイジアナ州選出のトロイ・A・カーター民主党下院議員は、今回の身柄拘束を「深く懸念している」と語った。
同議員は、「彼女が拘束されている理由を解明するためにアメリカ大使館と国務省と連絡を取っており、引き続きこの進行中の事態についての真相を収集する。彼女の無事を祈っている」と話した。
米国政府報道官は、米国民が拘束されたとの報道を国務省は認識しており、この事案に関する「追加情報を求めている」と述べたが、それ以上のコメントはなかった。
火曜日遅くにブリンケン長官はイスラエルに到着し、少なくともガザ地区におけるイスラエルの攻撃を一時停止し、ヨルダン川西岸地区での暴力を抑制するための取り組みを進めるとみられる。
10月7日にガザ戦争が勃発してから、イスラエルもまた、都市や村に対してしばしば致命的となる襲撃を仕掛け、ソーシャルメディアに扇動的な内容を投稿した疑いなどで数十人のパレスチナ人を逮捕するなど、ガザ地区に対する締めつけを行っている。
AP