ワシントン：米下院は火曜日（2月6日）、イスラエルのみを支援する法案の採決を実施し否決した。この法案について評論家はこう批判していた。対外援助を組みこんだ超党派国境警備法案を妨害する「馬鹿げた」横槍だ、と。この法案には戦争で疲弊したウクライナへの資金援助が盛り込まれている。

民主党が多数を占める上院は日曜日（2月4日）、過去数十年で最も厳しい移民規制が盛り込まれた、イスラエルとウクライナに数十億ドルを援助する超党派の法案を発表した。下院の共和党はそれを受けて今回の採決を予定していた。

しかし、1180億ドルの法案への支持は減っており、2期目の大統領を目指して立候補しているドナルド・トランプ氏は共和党に圧力をかけ、11月に選挙を控える中、ジョー・バイデン大統領に立法の土俵で勝利を与えないよう働きかけている。

国境・対外援助法案の発表後、共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、この法案が下院に送られた場合「到着した時点で死に体になる」と語った。

イスラエルのみを支援する法案は、176億ドルの軍事援助を提供するもので、両党の議員の大多数が強く支持している。ハマスの武装勢力による10月7日の残酷な攻撃に対応するものであるからだ。

しかし、バイデン大統領が拒否権を行使すると威嚇し、167人の民主党議員が反対票を投じた。彼らが怒りを覚えているのは、この法案が大規模支出を伴う国境・対外援助法案を妨害することを目的としているように見えるからだ。国境・対外援助法案は、超党派の上院議員グループとの数カ月にわたる交渉の末にまとめられたものだ。

このイスラエル単独法案には共和党議員13人も反対した。保守派が新たな支出を提案するたびに求めてきた予算の相殺措置が盛り込まれていないためだ。

ジョンソン議長が秋に就任して最初に行ったことのひとつは、イスラエルに143億ドルを支援する法案を下院に通すよう働きかけることだった。

しかし、この法案には内国歳入庁（IRS）の大幅な予算削減が盛り込まれており、バイデン大統領はこれに反対していた。

超保守の米下院フリーダム・コーカス氏は、予算削減による相殺措置を伴わない支出規模のさらに大きな法案を求める圧力に「屈した」とジョンソン議長を非難した。

米行政管理予算局（OMB）によれば、共和党の「策略」は、アメリカの国境を守りロシアの侵略に対してウクライナを支援する取り組みを妨害し、その一方でイスラエルとハマスの紛争で集中攻撃を浴びるパレスチナの市民への人道支援を拒否することだという。

しかしジョンソン議長は火曜日（2月6日）の記者会見で反論し、「イスラエルが最も必要とする時に」支援に対してバイデン大統領が拒否権発動をほのめかすのは「言語道断で恥ずべきことだ」とコメントした。

この法案が大規模支出を伴う法案の妨害を目的としていることは「あからさまであって馬鹿げた試み」だと下院の民主党幹部らは語った。大規模支出を伴う法案では、イスラエルの支援金、ウクライナへの600億ドルの支援金、アメリカの国境警備への200億ドルの支出が一体となっているが、議会では行き詰まりの様相を呈している。

「残念ながら、週末に共和党下院議員が提出したイスラエル単独法案は、予告も協議もないまま期限直前を迎えているが、誠意をもって提出されたものではない」民主党のハキーム・ジェフリーズ院内総務は同僚に宛てた書簡の中でこう述べた。

AFP